
「日本人の10人に1人は、 腰痛の悩みを抱えている」という統計(厚生労働省「国民生活基礎調査」1998年)がある。腰痛に加えて、膝関節痛を抱える人も入れると3000万人以上とも言われている。今後さらに高齢化が進むと、腰痛など筋骨格系の痛みに悩む人の比率が増え続けるとの予防医学研究者の声も出ており、腰痛・下肢関節痛はメタボ以上に深刻な問題ともいえる。
腰痛は、ヒトが二本の足で「直立歩行」をするように進化したために起こった、「 宿命的な症状である」といわれ、椅子に座る時間が長くなる傾向にある現代生活では、立位姿勢に比べて座位姿勢では椎間板に加わる負荷が大きいことが大きな要因とのことだ。加えて運動不足などから筋力低下が進むとともに、姿勢の悪さによる体の歪みにより、腰痛や下肢関節痛という現象につながってきて、ますますこの問題は深刻になる。これらの症状が経年変化によりさらに悪化し、やがて杖の厄介にもなり、そして寝たきりへのプロセスにつながりかねないという問題にもなってくる。
また、電車に乗っていると気になるのは、若い学生などでも座っている姿勢が極端に悪いというのが目立つが、これは親が小さい頃子供に注意しないことによるのだろう。そんなことから、高齢社会とは関係なく、今の若い人も含めて腰痛人口が増大する可能性が多くなり、彼らの活動が大きく制約されるということにもなる。そして、一度腰痛になると医者にかかってもなかなか治らないということから、医者も再発防止のために腰痛体操による腰周りの筋肉強化をすすめるというのが通例だろう。
そこで注目されるのは、コアトレとかコアエクササイズ(コアエクサ)といわれる、コア、つまり体幹部(内部筋肉と背骨、および股関節や膝関節まわりの)のエクササイズである。コアについては、このコラムでも何度か取り上げているが、コアエクサは最近フィットネス運動としても再注目されてきている。
先日、ボランティアで「足づくりの会」というのを主催されている方からの依頼で、全米アスレチックトレーナーズ協会公認トレーナー資格をもつ稲葉晃子氏を迎えた「コアエクサ体験会」を開いたが、ここでも40名の参加者のうちほぼ3分の1が腰痛、あるいは下肢関節痛持ちだった。
コアエクササイズの難しさは、体を正常な状態(背骨と尾骶骨を正常な生理曲線にするニュートラルポジション)に保った上で、エクササイズがやれるかどうかにあり、そこが成果への大きなポイントになる。そのために稲葉さん開発のコアヌードル(長さ110cmほどのクッション性をもつ道具2本を並べたもの)を使うことになる。この上に寝転ぶと、容易にこのニュートラルポジションを保つことができるために、専門家が横にいなくても、コアエクサを大変有効に行えるというものだ。
そして、いきなりコアエクサをやるのではなく、エクササイズの最初では骨盤と腰周りのストレッチを十分に行ってからやるのだが、腰痛や下肢関節痛の人は例外なくストレッチをするとどの部分の筋肉類が硬いかが端的にわかる。そして、そのことが筋骨格系の痛みに繋がっているということが理解されるようになる。ストレッチの後、参加者の運動レベルに応じて内部筋肉のトレーニングを行うのだが、体験前に痛みをかなり感じていた人も、約1時間の体験後には痛みがかなり軽減されるようになるという、きわめて優れもののエクササイズである。
冒頭の3000万人ともいわれるこれら腰痛と下肢関節痛の人に、この「コアヌードル」を使った「稲葉式コアエクササイズ」を知ってもらう機会を作り、できるだけ多くの人に痛みからの解放ができるようにし、いつまでも元気で活動できるようになってもらいたいと願っている。
ご参考: 「腰痛には腹筋運動は危険!」
<ロング(元気学校アンチエイジング・サロン コラムニスト)>