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モーレツに働いて金をかせぐか、ほどほどで快適な生活を選ぶか
【森永卓郎「サラリーマン塾」】
昨年12月17日、厚生労働省の労働政策審議会は、06年3月に期限切れが迫っている時短促進法の見直しを求める建議を尾辻秀久厚労相に提出した。
時短促進法は、1992年に日本人の働き過ぎを是正するために制定され、1800時間労働の実現が正式に政府目標となった。92年度の1人当たり年間総実労働時間は1958時間だったが、03年度には1853時間まで短縮され、目標がほぼ達成されたことも、政策見直しの1つの要因となっている。(2004.12.22掲載)
しかし、労働時間の基礎データとなる毎月勤労統計には常用パートが含まれており、近年の労働時間短縮は、パートタイマーの増加が主因となっている。
正社員に限れば、03年の年間労働時間は2016時間に達していおり、労働時間はむしろ増えている。リストラで人が減るなかで、サービス残業を含めれば、労働実態はますますひどくなっているというのが、多くのサラリーマンの実感ではないだろうか。
厚労省は今後、育児・介護の支援、休暇、短時間勤務の制度なども含めた労働環境の改善を目指した「労働時間等設定改善法」を制定する方向と言うが、果たして労働時間短縮目標そのものを放棄することは正しい選択なのだろうか。
ILO(国際労働機関)がまとめた調査報告では、00年時点で働き過ぎの目安である週50時間を超えて働く労働者の割合は、日本の28.1%が最大で、以下、ニュージーランド21.3%、米国20.0%、オーストラリア20.0%、英国15.5%と続いている。
一方、働き過ぎの割合が低いのは、オランダ1.4%、スウェーデン1.9%、オーストリア2.7%、ベルギー3.8%、イタリア4.2%の順となっている。
国名をみれば明らかなように、労働時間の長い国はアメリカ型経済システムの国で、短い国は大陸欧州型経済システムの国だ。大陸欧州各国の働き過ぎの割合は軒並み少なく、最も高いギリシャでも6.2%となっている。
ヨーロッパを訪れればすぐに分かるように、彼らは基本的に残業をしない。年休も完全消化で、1カ月のバカンスをゆったりと取っている。
もちろん、その代償として、大陸欧州諸国の1人当たり国民総所得は日米の3分の2程度だ。
つまり、労働時間をどうするのかというのは、死ぬほど働いてカネを稼ぐアメリカを目指すのか、ほどほどに働いてほどほどに生活する欧州を選ぶのかというライフスタイル選択の問題なのだ。
私は、こんなところまで対米追従する必要はないと思う。仮にアメリカ並みに長時間働いても、豊かになるのは一部の勝ち組労働者だけで、一般庶民の生活は豊かにならないからだ。その証拠に日本の平均賃金は6年連続で減っている。
(経済アナリスト)
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