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「1985年」吉崎達彦著
【ビジネスマンライブラリー】

客観的な評価がある程度固まって、過去形で語られるものが「歴史」だとすれば、20年前というのは、「過去の事実」が「歴史」になるかどうかの、微妙で中途半端
な時間差だ。(2005.08.29紙面掲載)
評者は1985年夏に、駆け出しの経済記者として三光汽船を担当し、メーンバンクだった大和銀行の首脳を連日連夜追い掛けていた。会社更生法を申請する前夜に、運輸相に密着取材していた海運担当記者から、とんでもない連絡が入った。「日航機が墜落したらしい」と。
運輸相という肩書も大和銀行も今や存在しないことを思うと、確かに過去の事件だが、日航機の墜落事故や三光汽船倒産の歴史的な意義付けは、いまだ不確かな部分があり安易な評価は下せないと思う。
博覧強記のエコノミストによる本書は、1985年の出来事を巧みに関連させ、あの出来事は何だったのだと考えるためのヒントを与えてくれる。過去の事実を「歴史
化」するためのガイドラインとなる一冊だ。
(新潮新書 680円)
