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短期入院でアレルギー性鼻炎解放する名医

【名医・名薬はコレだ】
meii20051010.jpg アレルギー性鼻炎の代表といえばスギ花粉による花粉症だが、原因物質(アレルゲン)はスギだけではない。イネ、ブタクサなどの花粉、ハウスダストのような物質もあり、中でも一番ひどいのは、こうしたアレルゲンを複合的に持っている人だ。同じアレルギー性鼻炎でも、その重篤度は深刻。順天堂大学医学部耳鼻咽喉・頭頸科の池田勝久教授は、こうした重症の鼻炎に対する内視鏡手術の第一人者だ。(2005.10.03掲載)

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 どんな治療を行うかというと、「後鼻神経切断術という手術法で、10年ほど前に開発されたもの。簡単に言えば、鼻の入り口から5-6㌢奥を走っている鼻水をつかさどる副交感神経を焼き切ってしまう手術です」。
 2年前に順天堂に赴任してから50例、その前にいた東北大学では100人の患者に対してこの手術をすでに行っている。

 副交感神経は、人間が眠ったり精神的に安らかになるときに優位になる自律神経の一つ。一方で鼻の粘膜にアレルゲンの刺激が加わると、知覚神経から脳へ「腺組織からの粘液の分泌」を促す指令が飛び、それに応じた副交感神経の刺激によって、鼻水が出ることになる。そこでこの神経を遮断することで、鼻水やくしゃみの抑制をしてしまおうというのだ。

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 手術は基本的には全身麻酔をして内視鏡によって行われる。直径4ミリの内視鏡を鼻の中に挿入し、粘膜を焼きながら神経まで進んで切断する。この時、一緒に血管も切断するが、超音波凝固装置で切断するため、出血を防ぐことができる。

 切った神経はそのままにしておくと再生し、鼻炎の再発を招きかねない。それを防ぐため、池田教授の手術では切断部に鼻腔内の軟骨でふたをするような処置をする。
 「手術にかかる時間は片側が10分程度。両側を手術しても前後の処置を含めて30-40分で終わります」

 この手術、以前はいくつかの合併症が報告されていたが、その多くがドライアイと上あごのしびれ。これは切断する神経が、鼻水を支配する神経と涙腺や上あごの感覚をつかさどっている神経に枝分かれしていることによるもの。
 そこで枝分かれをした先の、鼻水を支配する神経の根元を切断する方法を確立。これにより以前のような合併症はほとんど見られなくなった。

 従来の方法では内視鏡を、鼻の中にいくつかある気道のなかでも一番下の「下鼻甲介」という突起を通していたが、池田教授はそれよりも切除部位までの距離が短い「中鼻道」という空間を使うことで、無駄のないアプローチを可能にした。
 「同じアレルギー性鼻炎や花粉症でも、人によって症状や程度が異なる。それを的確に見分けて、患者にとってもっとも効果的な手術をすることが大切。まさにテーラーメードの手術です」
 内視鏡手術なので、顔の表面に傷がつくこともなく、手術後3-4日で退院できる。忙しいサラリーマン向けに、木曜入院・金曜手術・月曜退院―という短期滞在型のプランも用意されている。

 「この手術が適応されるのは重症鼻炎で、仕事中も頻繁に鼻をかんだり、日常の大半を口で呼吸しなければならないなど、きわめて深刻な状態の人。そんな人がこの手術を受けることで得られるメリットは計り知れない」と池田教授。
 これまでに手術を受けた人のなかには、「久しぶりに鼻呼吸ができた」「鼻呼吸がこんなに気分のいいものとは知らなかった」という人から、「数年ぶりで“におい”を感じることができた」と喜ぶ人もいたという。

 この手術は、鼻の粘膜が正常かそれに近い状態が理想的。つまり、スギ花粉のアレルギーであれば、年明け早々までがチャンスとなる。薬が効かない、何をやっても効果がなかったという人には、治療の選択肢が一つ増えたといえよう。
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■病院情報
順天堂大学医学部附属順天堂医院 東京都文京区本郷3ノ1ノ3(地下鉄丸の内線「御茶ノ水」から徒歩3分、JR「御茶ノ水」から徒歩5分)03・3813・3111。順天堂大学附属のメーンホスピタルとして先進医療を提供している。病床数1020床のうち耳鼻咽喉・頭頸科は36床を擁し、今回紹介した手術のほかにも「鼻副鼻腔腫瘍に対する超選択的動注がん化学療法」などの高度技術を駆使した医療を行っている。
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いけだ・かつひさ 新潟市生まれ。1981年に東北大学医学部卒業後、同大医学部耳鼻咽喉科助手を経て、87年米ミネソタ大学耳鼻咽喉科に留学。93年東北大学医学部講師、99年同助教授、2003年から現職。日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本気管食道学会認定医、日本アレルギー学会認定医、日本レーザー医学会専門医のほか、日本耳科学会、日本鼻科学会など14の学会役員、また日本アレルギー協会評議員などを兼任している。
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(医療ジャーナリスト・長田昭二)
■次回(17日発行)は「スポーツ整形」の福田潤・藤沢湘南台病院医師

投稿日: 2005年10月12日

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