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「つめの水虫」をパルス療法で改善

【名医・名薬はコレだ】
meii20060130_01.jpg 水虫というと春先にうずき始めるもの――と思いがちだが、菌そのものはわれわれの身の回りに一年中いる。足の裏や手の指のまたにできれば「水虫」と呼ばれるが、同じ菌が下腹部にできれば「いんきん」、頭にできれば「しらくも」となる。原因はすべて白癬菌で、柔らかい皮膚だけでなく固いつめの中に発症することもある。「つめ白癬」だ。(2006.01.30紙面掲載)

meii20060130_02.jpg つめ白癬はおもに足の指のつめにおきる。つめが固く肥厚して透明感を失い、進行すると組織がボロボロと崩れてくる。ひどい場合はつめが厚くなりすぎて靴がはけなくなるケースもあるという。そんな足で家の中を歩いていれば、落ちた組織が散らばって家族に簡単に感染していく。
 通常の水虫であれば軟膏(なんこう)を塗って菌を駆除するが、つめの中は組織が固く、軟膏では浸透していかない。そのため皮膚科医のあいだでは、昔から「治しにくい病気」といわれてきた。
 この「つめの病気」を専門分野とし、長年にわたって治療に取り組んできたのが今回紹介する東禹彦医師だ。日本を代表する「つめ博士」として全国的に知られる東医師だが、「つめの治療は観察に長期間を要するなど面倒なことが多い分野なので、皮膚科医も嫌うんです。つまり競争相手がいなかっただけですよ」と謙遜(けんそん)する。
 若いころは勉強するにも教えてくれる先生さえいなかったため、独学を余儀なくされた。今でこそ日本中の多くの皮膚科医がつめ白癬の治療を行っているが、そのスタンダードとなった治療法の大半が、東医師が参加した研究班によって確立されたものなのだ。
 なかでも2年前に開発された「パルス療法」とよばれる経口薬による治療法は高い効果がある。塗り薬では効果のないつめの白癬菌も、飲み薬でなら退治できる。以前は少ない量を連続投与していたが、高用量を一気に使って一定期間のインターバルをおく―というパターンで投与した方が治療効果が高いことがわかってきたのだ。一気に投与してしばらく休むというサイクルが心電図の動きに似ていることから、この名がついた。
 「薬効成分がつめに貯留する性質を持ったイトリゾールという薬が開発されたことで可能になった治療法です。従来の連続投与と比べると総投与量は半分で済むのに改善率は高い」と東医師。
 今では全国的に普及したパルス療法だが、注意点もあると指摘する。
 「イトリゾールはつめ白癬に対する効果が高い半面、他の薬と一緒に服用すると危険な場合がある。特に降圧剤や抗高脂血症薬を飲んでいる人には注意が必要で、皮膚科以外の領域の治療状況にも目を光らせる必要がある」
 水虫の治療で皮膚科に行き、生活習慣病の有無を尋ねられた経験を持つ人は少ないと思うが、この治療法に精通していればこそ、一見無関係に見えるそうしたチェックが不可欠となるのだ。
 また、イトリゾールが使えない場合でもテルビナフィンという別の薬による内服療法があるので、治療をあきらめる必要はない。
 東医師の皮膚科医としての姿勢は「培養へのこだわり」に見ることができる。患者のつめや皮膚から採取した菌を顕微鏡で見て、少しでも珍しいと思えばすぐに培養して詳細に検証することをいとわない。
 「最近は見たことのない菌を見つけても、培養さえしない皮膚科医が増えたけどね」と苦笑いするが、忙しい中でも培養工程を丁寧に組み込むことで、確実な診断と治療に結びつける。皮膚科における誤診の大半がこうした工程を省いたことでおきるのだ。
 50歳以上の日本人の2人に1人は何らかの水虫に感染しているといわれる。「たかが水虫」と考えがちな疾患でも、かかる医師によって治療成果は異なる。どこまで真剣に診てくれているか―を患者は注視すべきだろう。
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クリニック情報 大阪市堺市永代町1ノ1ノ6(南海電鉄高野線「堺東」からバス5分)。meii20060130_03.jpg電話072・226・7778。無床。2002年に開設した皮膚科専門のクリニック。手術にも対応し、特につめ白癬や巻きつめのようなつめの疾患の治療に関しては、東医師の評判を聞きつけた患者が関西全域のみならず、東京や福岡からもやってくる。
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ひがし・のぶひこ 1937年福岡県生れ。62年大阪市立大学医学部卒業。同附属病院勤務を経て72年関西医科大学皮膚科助教授。79年市立堺病院皮膚科部長、95年同副院長兼任ののち、2002年東皮フ科医院を開設し院長。日本皮膚科学会認定専門医、日本医真菌学会認定専門医、日本アレルギー学会認定専門医・指導医。医学博士。

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投稿日: 2006年02月07日

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