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椎間板ヘルニアを5分で手術、の名医
【名医・名薬はコレだ】
腰痛は人類が立って歩行をするようになって以来の歴史的な悩みといわれるが、その要因は姿勢の悪さや肥満などさまざまだ。中でも 椎間板(ついかんばん)ヘルニアによる腰痛は、直接神経が刺激されて起こるだけに、耐え難い激痛にさいなまれる。銀座ファーストクリニックの丸茂仁院長は、10年以上前からレーザーによる椎間板ヘルニアの手術を行い、これまでに1万5000人の患者を深刻な苦しみから開放してきた実績を持つ。(2006.02.27紙面掲載)
まずは椎間板ヘルニアという疾患について、おさらいをしておこう。
人間の背骨は椎骨という骨が重なってできており、そのすぐ背後を神経が走っている。椎骨と椎骨の間に挟まっているのが椎間板で、中心部の髄核という柔らかい組織の周囲を線維輪という軟骨が囲むような形になっており、椎骨のクッションの役割を担っている。
そして何らかの原因によって髄核が神経側に突出して変形し、神経に触れて刺激を起こしている状態が椎間板ヘルニアだ。
「放置すると椎間板が変形したまま固くなり、最悪の場合は 膀胱(ぼうこう)直腸障害を引き起こして、排尿や排便に困難をきたすこともあります」というから、単に痛いだけの病気ではないのだ。
治療法はいくつかあるが、丸茂院長はPLDD(経皮的髄核減圧術)というレーザー手術の名医として知られる。従来型の手術が10日程度の入院を必要とするのに対してこの手術は入院の必要がなく、また術後のフォローも少なくて済むことから、近年ニーズの高まっている治療法だ。
背中に直径約1・3ミリの細い管を刺し、X線の画像を見ながら神経を刺激している椎間板まで挿入する。そして管の中にレーザーファイバーを通し、突出している椎間板の内部にレーザーを当てて、組織の一部を蒸散させるのだ。これにより椎間板の内部に空間ができて、突出した部分が元の状態に戻るという仕組み。
「レーザーを1秒間隔で当てていくと、刺した管から魚を焼いたようなにおいがしてきます。これは髄核が蒸散していることを示すもので、この時点で患者さんの痛みはなくなっています」
この間わずか5分。手術台に上がるまで激痛に顔をゆがめていた患者が、それまで決してできなかった体位をとっても痛みが起きない状況に、喜びというよりは不思議な感覚に陥るという。
「手術時間は短いものの、X線を見ながらの作業なので集中力を途切らせることができません。特に髄核を的確にとらえるのは非常に繊細なテクニックに頼らざるを得ないので疲れますよ」と話すように、自身も1回の穿刺で確実に髄核をとらえられるようになったのは、1000件以上の症例を重ねてから。
「最近は患者側のニーズが高まり、レーザー治療を導入する医療機関も増えていますが、その医師の症例数は選択基準にすべきでしょう。また、すべての症例がレーザーで治療できるものでもなく、約5㌫の確率で思うような効果が得られないことがあります。そうしたときにスムーズに切開手術に移行できるか、または切開手術を行う医療機関に紹介してくれるところでないと、安心はできません。レーザーだけにこだわるのは危険です」
丸茂院長は2回目まではレーザーで対応するが、それでも効果が表れない場合は、切開手術を勧める。
ちなみに椎間板ヘルニアに対するレーザー治療は、現状では健康保険の適用外となるため、約80万円の医療費が全額自己負担となる。
それでも「この病気の患者さんの苦痛は耐えがたいもので、特に働き盛りの人にとっては死活問題。わらにもすがる思いで来られる患者さんがほとんど」というように、患者の悩みは深刻だ。1日30人の診療枠が連日一杯になる多忙ぶりに、腰痛患者の悲痛な苦しみがあらわれている。
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まるも・まさし
1966年大阪医科大学卒業。71年同大学院修了後、同大付属病院整形外科助手を経て、76年北摂病院整形外科部長。79年丸茂病院(現水無瀬病院)を開設。93年からレーザーによる椎間板ヘルニア手術に取り組む。現在、日本整形外科学会、日本レーザー医学会、日本救急医学会、国際レーザー医学会などに所属。医学博士。
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■クリニック情報
東京都中央区銀座1ノ2ノ4銀座ファーストビル4F(東京メトロ有楽町線「銀座一丁目」から徒歩1分、銀座線「京橋」から徒歩3分)電話03・3538・2581。無床。2004年に開設した都市型診療所。整形外科と放射線科を持ち、クリニックとしては珍しいISO9001を取得している。丸茂院長の診察は月・火・木・金で、完全予約制。
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■次回(27日発行)は「尿失禁治療」の大阪中央病院泌尿器科部長・竹山政美医師
