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「不妊治療」最前線
【名医・名薬はコレだ】
少子化対策の一環で、国や自治体による不妊治療の助成制度の実施が、少しずつであるが広まっている。不妊治療は夫婦で受けるのが原則。治療の流れと元気な精子づくりの秘策を専門医に聞いた。(2006.03.22紙面掲載)
■セックスレスが深刻
避妊なしのセックスを2年以上続けても妊娠しない場合を「不妊」という。いま夫婦の10組に1組が不妊で、その内の3割を超える50万組が不妊治療を受けているといわれる。
その主な3大原因は、女性の「排卵障害」、「卵管異常」と男性の「精子異常」だ。
だが、東京都の助成指定医療機関になっている「はらメディカルクリニック」(渋谷区)の原利夫院長は「受診する3割の夫婦が異常なし」という。
「いつ排卵するか分からない夫婦も多く、中にはセックス回数が2カ月に1回という人もいる。これでは妊娠しない。週2、3回やっていれば排卵の周期に当たるはずです」
こう強調するのも不妊の35-40%は男性が原因で、精子減少症や無力症といった精子異常の他に、近年はED(勃起障害)を含めたセックスレスが増えているからだ。
「結婚して1年目は避妊をしていて、避妊をやめたとたんにセックスをしなくなる人がいる。面倒なのか、飽きたのか、浮気や風俗は平気なのに子作りのセックスになると嫌がる男性が多い」
急増中の夫婦間のセックスレスは、不妊治療の現場ではかなり深刻なのだ。
■不妊治療の値段と流れ
不妊は、まず女性の排卵日に合わせたセックスをする「タイミング療法」から始まる。
ノルマは指定する3日間に最低2回以上。費用は検査なども含めて、3割負担で1回2000-3000円。これを半年ぐらいやって、ダメなら排卵誘発剤を使って再びタイミング療法を4-5回繰り返す。誘発剤の中には保険適用外や適用回数が決められているものがあり、薬代は500-1万円と、かなり幅がある。
ここまでは35歳以下で結婚から2-3年程度の女性が対象。
35歳以上で、不妊が4年以上もたつ人は、だんだん難しくなってくる。タイミング療法は1、2回で切り上げ、早めに人工授精にチャレンジする。
人工授精は、男性から採取した精子を洗浄・濃縮して女性の子宮に注入する方法だ。セックスをしない点を除けば、自然妊娠と同じだ。目安は6-8回で、1回約2万円(保険適用外)かかる。
そして、いま全国レベルで助成が受けられるのは、次の高度生殖医療からになる。
体外受精は女性から成熟した卵子を取り出し、男性から採取した精子と培養液の中で受精させる。後日、卵が4-8分割したら子宮内に移植する。顕微授精は、この過程で、顕微鏡を見ながら直接卵子の内部に精子を送り込む方法だ。
保険適用外の体外受精は高額で1回30-40万円。顕微授精が加わると2万-10万円上乗せになる。妊娠率は30-45%で、30代後半では10%ほどに落ちるといわれる。この療法で年間1万2000人以上の赤ちゃんが誕生している。
「男性の精子異常ではホルモン療法などの治療も同時に行うが、それほど劇的な効果はない。体外受精のケースの半数は男性不妊で、精子の受精能力が低い場合には顕微授精が行われる」
■元気な精子をつくる法
男性の精子減少は環境ホルモンやストレス社会の影響が指摘され、世界的傾向だ。調査によれば、1940年代の若い男性の精液1ミリ㍑中にいた精子数は1億3000万匹。それが90年代には8000万匹(約62%)、現在は2000万匹(約15%)にまで減少している。
では、元気な精子をつくる秘訣はないのか。院長は次のような助言をくれた。
(1)袋を冷やす:精巣の働きは31-33度がもっとも活発。体温よりやや低い温水をたらいにため、陰のうを5-10分ひたす。これを3-4回繰り返す。
(2)ノーパン睡眠:昼間のパンツは風通しのいいトランクス。寝るときはノーパンで解放させると、血行にもいい。
(3)週1回は放出:25歳を過ぎると精子が満タンになると脳から製造休止命令が出る。精子は1週間ほどで満タンになるので、定期的に出さないと精力減退や精子の質が悪くなる。
(4)パソコン仕事は、適度に急速を:「コンピューターワークは人間の本能を低下させる」。日常の運動や気分転換で、ストレス発散を心がけよう。
■国の特定不妊治療助成制度
都道府県が実施窓口で、保険適用外の「体外受精」と「顕微授精」を、年上限10万円、通算2年度まで支給。
■東京都内の自治体独自の助成制度
【品川区】
国の助成対象にならない一般不妊治療を4月からカバーする。保険適用外の「人工授精」は1回1万5000円を上限に年3回まで。保険適用される「タイミング療法」、「排卵誘発法」などの治療や検査の自己負担分も、年上限3万円で最長3年間助成。
【練馬区】
国の助成で特定不妊治療を受け、年上限の10万円を超えた場合、4月からさらに年最大5万円を上乗せして、通算2年度まで補助する。
※各助成制度は、その自治体に住所があり、夫婦合わせた年間所得が650万円未満、指定の医療機関で受けることが条件。全国の区市町村で独自の制度を設けるところがあるので、問い合わせて賢く利用しよう。
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