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日本HP―最先端技術で文化財をデジタル複製
【パソコン/インターネット】
今月5日、京都の北野天満宮に、桃山時代の絵師、海北友松の作品で重要文化財に指定されている墨絵「雲龍図屏風」が奉納された。といっても、実はこれ、最先端の複写・印刷技術によって制作された高精細の複製である。(2006.06.13紙面掲載)
複製作業を行ったのは、米パソコン大手の日本法人「日本ヒューレット・パッカード(日本HP)」。同社は京都国際文化交流財団と提携し、京都に存在する無数の芸術文化財をデジタル的に保管し、次世代に継承するプロジェクトに取り組んでいるが、今回の奉納もその一環だ。これで、年に数回しか拝観が許されてこなかったいにしえの名作が、複製とはいえ日常的に見られるようになるかもしれない。
今回の複製は以下の手順で行われた。まず、デジタルカメラで原本を48カットに分けて撮影。それを合成し、約3億画素のデジタルデータを生成した。その後、コンピューター上でカラーマッチング(色合わせ)を繰り返して原本の色調に近づけた。そして最後に、日本HPの大判プリンター「デザインジェット」で和紙に印刷、それを表装して仕上げた。
奉納を受けた北野天満宮の橘重十九宮司は、寸分の類も変わらない複製の出来映えに十分満足の様子で、「重要文化財ということで、これまでためらっていた公開や貸し出しも、複製なら積極的にやっていきたい」と語る。さらに、「(今回の複製を)日本文化を海外に紹介する先駆けとし、大和心を世界に伝えたい」と同宮司は期待する。
今回の複製プロジェクトでは、「同じ条件で原本と同じに見えること」が最優先課題だった。同財団のグラフィックデザイナー、山口晃吏氏は「墨は顔料であり、HPのインクジェットプリンターで使われているインクも水性顔料ですが、やはり墨の黒を再現するのは、相当難しかった」と話す。
実際、別々に見ればどちらが本物かわからないほど精巧だが、偏った光源の下では若干色調が違って見えるという。「この点の解決が今後の課題」(山口氏)だ。
ちなみに、今回の複製にかかった費用は数百万円で、制作期間は数週間。人の手による模写複製に比べれば、圧倒的に安上がりということだ。
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【えとき】
「雲龍図屏風」のオリジナルと複製。蛍光灯に照らすと色味の違いが目立つが、自然光の下ではまるで同じ
複製墨絵の前に立つ日本HP、財団、北野天満宮の関係者
