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「質」はどこまで重視されるか?

■デジタル・ネタ帖
 発表会見に出席しなかったので、他紙の報道を読んだうえでの感想だが、ソニーは新型ウォークマン「S」シリーズの発表会で「徹底的に音にこだわった」(幹部)と胸を張ったらしい。
 音楽プレーヤーが音にこだわるのは、もちろん悪いことではない。だが、果たしてそれでiPodの牙城に少しでも迫ることができるだろうか?

 iPodは、そのデザイン性やパソコン・ネットとの親和性、大量の音楽を持ち運べる「便利さ」などが要因で大ヒットした。異論はあるかもしれないが、「音質」は当初あまり重視されていなかったはずだ。これに対し、「音楽(機器)のプロ」を自認するソニーは、「質」の勝負を挑んできた。
 次世代DVDの規格が語られるときも、まず「画像の質の高さ」が出てくる。こちらも質が高いにこしたことはないが、その一方でワンセグ・ケータイが売れているという報道を見ると、疑問を感じる。果たしてユーザー(もちろん、“一般”ユーザーのことだ)は、「質」と「便利さ」のどちらを求めているのだろうか、と。
 もちろん今後は、自宅では大画面テレビ、外出先ではワンセグ、という使い分けが一般的になるだろう。だが、“専門家”らがハイビジョンの美しさを語るときによく使う「これを一度見たら、もう以前のテレビは見られない」という言葉は、ワンセグ・ケータイのヒットと矛盾しないだろうか?
 松下電器のデジカメ「LUMIX」がヒットしたのも、ライカ製レンズという「質」ではなく、手ブレ防止機能という「便利さ」が大きな要因だった。ネットの世界にも、「質」より「便利さ」が受けてヒットしたものはたくさんある。グーグル、2ちゃんねる、ブログ、mixi、YouTubeなどなど、だ。いずれも、従来型のデザインに凝ったサイトではなく、便利さを推し進めた“簡素”な作りが特徴だ。
 「プロ」の存在を否定するわけではないが、最近あまりにも「プロ」と「一般消費者」の意識が乖離しているような気がする。
(「夕刊フジ」デジタル担当デスク・佐々木浩二)

投稿日: 2006年10月15日

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