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「ありふれた魔法」盛田隆二著
城南銀行五反田支店次長・秋野智之44歳は、職場結婚した2つ年上の妻との間に子どもが3人いる。仕事が忙しく家事や育児は妻任せだが、家族のことは何より大切に考えているつもりだった。
ある日、部下の森村茜から得意先の社長への謝罪に同行してほしいと頼まれる。26歳の茜は、人事部の評価も高いファイナンシャル・コンサルタント。業務は会社とオーナー双方のアドバイザーであり、オーナーの良きビジネスパートナーであることが求められる。その任務を果たすために尽力した茜から、苦しい胸の内を打ち明けられた智之の心は揺れはじめ…。
家庭でも職場でも確固とした自分の居場所を持ち、色恋などは卒業したと思っていた男の足元が揺らいでくる。リアリズムの名手が理性では抗(あらが)えない人間の性を描く。(光文社、1680円)(2006.10.17紙面掲載)
