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渋カッコいい飲み屋35店リスト

 今、いかにも下町にありそうな、趣や味のあるシブ―い飲み屋が人気だ。そんな「渋カッコイイ酒場」について、“飲み屋の達人”なぎら健壱さん(54)と吉田類さん(56)がホロ酔い談義を展開した。酔った勢いで、2人が全国の「渋カッコイイ」飲み屋から、ベスト35を厳選した。

秘伝のタレ
 ともに「酒場の達人」である、なぎらさんと類さんの対談とあって当然、シブい酒場が“会場”となった。東京・門前仲町にはマニア垂涎、味のある飲み屋が軒を連ねるが、類さんは味わいある牛煮込みの店「大坂屋」を選んだ。当然、なぎらさんも知っていた。
 「最近はご無沙汰だったけど、まだ売れないころ20年以上前から来ているよ。とりあえず『良く煮え』のナンコツ、シロをもらおうかな」
 店に入るや、なぎらさんの注文も慣れたもの。
 類さんも「この味には何年経っても飽きが来ないんだよね。不思議なんだよなぁ」と、うまそうに串を運ぶ。
 同店のカウンターに据えられたナベには、グツグツと戦前から続くという“泥炭”のような秘伝のたれ。漬け込まれた串をここからさい箸で、それぞれ皿に取る。
地域の酒を
 「この店では、もうコレで何回もパカ(バカ?)になっちゃってるからなぁ」となぎらさんが手にするのは、梅エキスを垂らした焼酎。
 類さんは「酒は(銘柄を)決めて飲まないほうがいい。地域ごとに美味しい酒があるんだから、幅広く飲んでみないと」とクイっと一口。
 杯を重ねるにつれ、2人の飲み屋談義に拍車が掛かる。
 「木場の『河本』なんかさ、21、22歳のころから通ってるけど、あのころから傾いたままだもんな。いや―、日本の建築もバカにできないね」と苦笑するなぎらさんに、「そうそう、みんなホッピー飲んでるんだけど、外から見ると店とはとても思えない。でも、それがまた味があっていいんだよ」と類さん。
いい酒場
 一方で、類さんは「老舗といわれる店のなかには、主人に気を使って、みんなムスっと飲んでる店もある。あれはおかしいよね。何のため飲んでるのかって思うね」と指摘する。
 これに、なぎらさんも「頑固と偏屈をはき違えてるとこ多いもんな」とうなずいた。
 列島を飲み歩いている2人。初めてぶらりと立ち寄る店もある。
 「新しい地に行って、『この街にはないな』と思ってた街にいい感じの飲み屋があると嬉しいよね」(類さん)
 「あと地元の人間が通っている店じゃないと、本当にいい店とは言えないな」(なぎらさん)
出合い
 対談の舞台となった門前仲町の飲屋街は、2人とも勝手を知ったる街。なぎらさんが「20年ぐらい前、毎日のように通っていたころ、絶対どっかでスレ違ったり、隣同士で飲んでいたんじゃないか」と話せば、「ケンカをしてたかもよ」と類さんが混ぜっ返す。対談もすっかり“飲み仲間”モードに突入している。
 「酒はあくまでキッカケ。人との出会いがあり、話ができる。それこそが酒場めぐりの本質なんだよ」とフト、まじめな顔に戻ったなぎらさん。しかし、次の瞬間、「じゃぁ、次行きますか! この先にいいとこ知ってるんですよ」。
 約2時間、2人で焼酎を10杯近く飲み、煮込みをしこたま食べて、たったの5000円ほど。
 飲みの世界の“ちょいワル”オヤジは笑い声を響かせ、まだまだ続く夜の街に消えていった。
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“達人の教え”3カ条
 「渋カッコイイ酒場35選」をリストアップするにあたり、類さんは「本当はまだまだたくさんある。もっと載せたかった」と苦渋の選択だったことを明かす。こうした「いい店」を探す“達人の教え”3カ条を伝授してくれた。
 「どんな飲み方をしたいかによるけど、大衆酒場の場合、いい店は店外までワイワイと盛り上がる“オーラ”があふれ出てる」。人気の店は地元の人を中心に愛されているため、開店と同時に埋まってしまう店が多いという。
 リストにある『斉藤酒場』は、「一見普通で特別なところはない。逆にそこに、庶民の生活を感じさせる酒場独特の雰囲気がある」とこのタイプの典型だ。
 また、「串や刺し身、焼酎や日本酒など、その店のウリがハッキリしている方がいい。ただ良いモノを高くはある意味、当然。安くて旨いとさらにいい」と指摘。「土間など味わいある空間に、焼いたポテトサラダとか季節のモノを旨く食べさす」という『可わら』なら、食材にこだわりを感じること間違いなしだ。
 さらに、「主人だね。いかつくても人が良い人、苦労人っぽい人など、酒場は主人と女将の人柄が反映される」。東京郊外にある『よっちゃん』は、「周りは田んぼしかない昭和30年代、屋台から始まった歴史をご主人から聞くとさらに面白い」と魅力を説く。
 つまり(1)独特のオーラ(2)食材・酒へのこだわり(3)主人と女将の人柄―が3カ条というわけだ。
 最後に連載中の「一献一句」特別編として、酒場の魅力について一句詠んでもらった。
 あるじ老ひ 味深まりぬ 温(ぬく)め酒
 「これからの季節、人肌の温め酒(秋の季語)がますます恋しくなる。店主が老いていれば、なお味わい深い。そんな句かな」
 う―ん、渋カッコイイ酒場って、奥が深い。
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よしだ・るい
 高知県出身。シュールアートの画家として活動後、イラストレーターに転身。90年代から全国の酒場を飲み歩き、執筆活動を始めるかたわら、俳句愛好会も主宰。“酒場詩人”として、本紙で2年以上にわたり連載中の「一献一句」(「酒場遍路」「酒場めぐり」)は、飲んべえに高い人気を誇る。BS―iの番組「吉田類の酒場放浪記」や、「酒場歳時記」など著作も多数。
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なぎら・けんいち
 東京都中央区出身。フォークシンガーとして、72年にデビュー。「およげ!たいやきくん」のB面「いっぽんでもニンジン」で知られる。シンガーとして活躍する一方、俳優、タレントとして数多くのドラマやバラエティーに出演。東京の下町における庶民文化を愛し、造詣も深い。代表曲に放送禁止となった「悲惨な戦い」。著書に「東京酒場漂記」「下町小僧」など。
 なぎらさんは11月14日、東京都江東区の森下文化センターで、イベント『フォーク夜話』を開催。同センターロビーでは10日から30日まで、写真展『東京の東がわ』も行う。
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【吉田類&なぎら健壱がご推奨! 渋カッコイイ飲み屋35選】

(東京)
「兵六」 千代田区神田神保町1― 3― 20/電話なし
  17・00―22・00/土日祝休/客単価2000円
「みますや」 千代田区神田司町2― 15/電話03・3294・5433
  17・00―23・00/日祝休/客単価3200円
「卯波」 中央区銀座1― 5― 14/電話03・3561・3408
  17・00―22・30/土日祝休/客単位3500円
「スタンドバーmaru」 中央区八丁堀3― 22― 10/電話03・3552・9210
  17・00―23・00/土日祝休/客単価1500円
「土佐鮮活処そのまんま」 港区新橋4― 18― 4/電話03・3434・1414
  17・00―23・30/日休(土祝は要予約)/客単価7000円。
「バーリィ浅草」 台東区西浅草3― 15― 11/電話03・3847・1066
  18・00―25・00/月休/客単価3500円
「正ちゃん」 台東区浅草2― 7― 13/電話03・3841・3673
  11・00―23・00/月火休/客単価1600円
「斉藤酒場」 北区上十条2― 30― 13/電話03・3906・6424
  16・30―23・30/日祝休/客単価1400円
「初恋屋」 北区東田端1― 12―1/電話03・3800・8278
  17・00―不定/土日祝休/客単価3000円
「天七」 足立区千住2― 62/電話03・3882・2879
  16・00―22・00/日祝休/客単価1500円
「とん平」 墨田区東駒形3― 22― 2/電話03・3625・0173
  17・00―23・00/日祝休/客単価2500円
「ゑびす」 葛飾区四つ木1-32-9/電話03・3694・8024
  16・00―23・00/火休/客単価1800円
「カブト」 新宿区西新宿1― 2― 11思い出横丁/電話03・3342・7671
  14・00―21・00/日祝休/客単価3200円
「ばるぼら屋」 新宿区歌舞伎町1― 1― 8/電話03・5285・8188
  18・00―翌6・30/日祝休/客単価2000円
「大坂屋」 江東区門前仲町2― 9― 12/電話03・3641・4997
  16・00―21・00/日祝休/客単価3000円
「山城屋」 江東区南砂1― 6― 8/電話03・3644・8612
  16・00―23・00/日祝休/客単価2000円
「河本」 江東区木場1― 3― 3/電話03・3644・8738
  16・00―20・00/日祝、第2土休/客単価1000円
「だるま」 江東区門前仲町2―7―3/電話03・3643・4489
  17・00―22・00/無休/客単価2800円
「可わら」 杉並区阿佐谷北2― 5― 9/電話・非公開
  17・00―23・00/日祝休/客単価3500円
「やきとり雅」 杉並区西荻北3― 11― 10/電話03・3395・9667
  17・00―24・00/月休/客単価3800円
「路傍」 中野区中野5― 55― 17/電話03・3387・0646
  18・00―24・00/日祝休/客単価3500円
「北国」 中野区中野3― 35―8/電話03・3831・5205
  17・30―22・00/土日祝休/客単価2500円
「もつやき金ちゃん」 練馬区豊玉北5― 16―3/電話03・3994・2507
  17・00―23・00/日休/客単価1200円
「馬鹿牛」 渋谷区代々木1― 41― 3/電話03・3370・6554
  17・00―24・00/日祝休/客単価2000円
「さいき」 渋谷区恵比寿西1―7―12/電話03・3461・3367
  17・00―24・00/日祝第1・3土休/客単価4000円
「よっちゃん」 日野市南平7― 17― 32/電話042・592・4280
  17・00―23・00/日祝休/客単価2500円
「うなちゃん」 国立市北1― 1/電話042・572・1772
  17・00―(19・30ごろネタ完売)/日祝休/客単価3000円

(東京以外の関東)
「かとりや」 神奈川県川崎市高津区溝の口2― 7― 13/電話044・822・8802
  16・00―23・00/日祝休/客単価1400円
「文福」 神奈川県川崎市中原区新丸子町915/電話044・722・8828
  17・00―23・00/客単価2300円
「豚の味珍(まいちん)」 横浜市西区南幸1― 2― 2/電話045・312・4027
  16・30―22・30/日祝休/客単価2000万円

(関西)
「北サンボア」大阪市北区曽根崎2― 2― 12/06・6311・3645
  17・00―23・00/日祝、第2土/客単価3000円
「伏見」 京都市東山三条大橋東入ル2― 76/075・751・7458
  17・00―22・30/日、月―水の祝休み/客単価3000円
「京極スタンド」 京都市中京区新京極通四条上ガル/075・221・4156
  12・00―21・00/火休/客単価1500円

(その他)
「三幸(みゆき)」 金沢市片町1― 10―3/電話076・222・6117
  17・00―24・00/日祝休/客単価3000円
「とんちゃん」 高知市帯屋町1―3―8/電話088・823・6204
  17・00―23・00/日休/客単価3000円

※営業時間は平日、客単価は概算です。週末などで営業時間が変わる店、また休業日も突然変更している場合がありますので、訪れる際は店にご確認ください。(2006.11.08紙面掲載)

投稿日: 2006年11月23日

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