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「『豊かさ』の誕生」ウィリアム・バーンスタイン著

book20061214_01.jpg 古今東西の実例をひいて「豊かさ」について、総合的に考える大著。まず、国家の富を増大させる条件として私有財産権、科学的合理主義、資本市場、輸送・通信技術を挙げ、この4条件のどれかひとつでも欠ければ「負け組」になる。「勝ち組」の例としてオランダと英国、「負け組」としてオスマン・トルコと中南米諸国を挙げ、日本はフランスやスペインと同じく「キャッチ・アップした国」として定義。

 後半では、個人の心の満足を分析。所得がある水準を超えると、自己実現など経済以外の価値観の比重が大きくなる。また、所得水準が高くても格差が大きい社会では不満が大きい。
 とすると、成長率が低い先進国は格差を抑制するほうが、国民全体の満足度が最大化されるように思えるし、実際に格差の小さい北欧諸国では豊かさの実感度が圧倒的に高い。ただし、格差の拡大を否定すると経済は活力を失い「負け組」に転落しかねない。成長と格差のジレンマを解消するための「第三の道」を模索しているのが現代社会だ。蛇足ながら、訳者の徳川家広氏は、旧将軍家のお世継ぎ候補だ。(日本経済新聞社、3360円)(2006.12.14紙面掲載)

「『豊かさ』の誕生」

投稿日: 2007年01月04日

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