TOP健康 > 青島幸男さんの命奪った「骨髄異形成症候群(MDS)」とは?

青島幸男さんの命奪った「骨髄異形成症候群(MDS)」とは?

 今月20日に亡くなった青島幸男さん(享年74)=写真。放送作家、俳優、そして前東京都知事と晩年まで希代のマルチぶりを発揮していた青島さんを襲ったのは骨髄異形成症候群(MDS)という耳慣れない病名。いったいどんな病気なのか。

 「大きな意味では白血病の仲間といえますが、正確には『前白血病状態』という分類、つまり白血病になる前段階の病態のことです」と話すのは、日本赤十字社医療センター第二内科部長(血液内科)の鈴木憲史医師だ。高齢者に多く、全体では10万人に対して4― 5人程度の発症率。高齢化の進展とともに患者数は増加しているという。
 骨髄の造血幹細胞に異常が起きて、正常な血液細胞が造れなくなるこの病気。白血病の前段階とは言いながら、白血病よりもたちが悪い。
 「白血病にもこのMDSから移行してなるタイプと、いきなり白血病になるタイプがあり、いきなり白血病になったタイプには抗がん剤治療が効果を示すので治療成績もいい。それに対してMDSから白血病になった場合は、顕著な効果を示す治療法がない。若ければ骨髄移植も可能だが、患者の多くが高齢者なので適応年齢を過ぎているケースが多い」と、鈴木医師。根治ではなく延命を目的とした治療をせざるを得なくなるのだ。
 その理由を鈴木医師はこう説明する。
 「血液を造る工場で、不まじめな作業員が増えて、まじめな作業員を脇に追いやってしまっているのが白血病。だから抗がん剤で不まじめな連中をリストラすれば陰に隠れていたまじめな作業員たちが復権して工場は正常に稼働する。これに対してMDSは、工場中に間違った設計図が 蔓延(まんえん)することで、不良品ばかりが生産され、出荷不能に陥った状態。抗がん剤でリストラしたら、もう代わりはいないんです」
 正常な血液が造られないので、症状としては貧血や出血傾向になりやすい。青島氏も先月1日、自宅で「くらくらして転倒した」ことから入院しており、MDSによる貧血がおきていたことが想像される。
 抗がん剤の副作用で遺伝子にキズがつき、それがきっかけでMDSを発症するケースも指摘されている。青島氏は91年に悪性リンパ腫で抗がん剤治療を受けているが、鈴木医師は「通常は抗がん剤を使ってから7年以内に発症する。15年も間が開いているところを見ると、関係性はきわめて薄い」と語る。
 いずれにしても、メタボリックシンドロームと違って生活上の注意では発症を防ぐことができないこの病気。健診での血液検査を注意してみるくらいしか手立てはないようだ。
(2006.12.25紙面掲載)

投稿日: 2007年01月15日

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