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映画決めゼリフ「初恋」
誰かに必要だなんて、言われたの初めてだから
1968年、あなたは何をしていただろう。あの「三億円事件」があった年だ。
みすず(宮崎あおい)は18歳高校3年生で孤独の中にいた。だから幼い頃に別れた兄を捜して新宿のジャズ喫茶Bに行った。そこで兄と仲間たちに出会う。みんな輝くモノが見つからず、ただコーヒーを飲み、音楽を聴いていた。冷やかしで学生運動に参加して機動隊に殴られたりした。でも、その仲間の傍にいるだけで、みすずの心は和むことができた。
当時の青年は喫茶店や雀荘、新宿「西口広場」で群れていたような気がする。そうして閉塞感と向き合っていたのだろう。
映画はその60年代後半の青春群像を描きながら、仲間のひとり岸(小出恵介)とみすずにスポットが当てられていく。
古い日活ロマンポルノを見るようで妙に芝居じみた覇気のない映像だが、みすずが岸から三億円強奪の計画を打ち明けられ、このセリフを吐き、協力を約束する。そこからドラマが俄然面白くなる。三億円事件の実行犯は女子高生― という意外な設定がどう展開していくのか― 。
きっとあの時代、誰もが「おまえが必要だ」と言われるモノを捜していた。でも結局は髪を切ってサラリーマンとなった。いま、みすずは56歳。あの一瞬輝いた初恋なんて無かったかのように、きっと普通の母親になっているのだろう。
2006年6月公開。本編1時間54分、発売・ギャガ・コミュニケーションズ。スタンダード・エディション=3990円。(2006.12.28紙面掲載)
■「初恋」

