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オヤジと浸る昭和の夕べ
■酔っぱライター・江口まゆみ「酒と男の日々」
私が運営しているウェブマガジン『酔っぱライタードットコム』に「おやじ飲みツアー」というコーナーがある。オヤジの、オヤジによる、オヤジのための飲み屋に毎月、突撃取材するというもの。
実は私一人で取材に行っているのではない。本物のオヤジがガイドしてくれる。その正体はFさん(59)。
オヤジの聖地・新橋を中心に、オヤジ店を知り尽くした団塊世代で、民放の元アナウンサー。
ただし、華やかさはなく、マジメな風貌。ややサイズの合っていない吊るしの背広に身を固め、ハイライトを吸いながら、焼酎のお茶割りを飲んで、カラオケを歌う。その歌が実にうまい。
Fさんとは、ひょんなことから飲み友達になってしまい、毎月のように飲みに行き始めて3年目。Fさんの行きつけの店は昭和の香りが漂う味のある店が多い。先日、2人で「取材」と称して行った店もそうだ。
場所は新橋の烏森口。70代の大将が一人でやっている、うなぎ屋だった。蒲焼き、キモやレバーといった珍味が串焼きになって出てくる。
酒は30年前の開店当初から新潟の「〆張鶴」一本やり。1月から2月にかけては、そのにごり酒が飲める。〆張鶴のにごりは、辛口で口当たりよく、スイスイ飲めてしまう。
酒とつまみを堪能したあとは、Fさんと顔を見合わせて、「さて、歌ですか」。あ―、今日も午前様だな…と思いつつ、楽しいから断れない。2人の「取材」はまだまだ続きそうだ。(酔っぱライター)(2007.01.30紙面掲載)
