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松坂の「イチロー化」だけは避けてほしい

■江尻良文編集委員「球界に直言!」
 メジャーリーグも動きだし、球春たけなわだ。誰もがレッドソックス・松坂大輔の活躍に注目しているだろう。日本球界がメジャーに送り出した、最後の看板スターといえるだけに、何勝できるのか、興味津々だ。
 が、松坂に対し、一つだけ注文がある。グラウンド外でのイチロー化現象は避けて欲しい。チームと合流する前の自主トレで、報道陣をシャットアウト、松坂カーテンを敷いてしまったために、松坂報道が一時期、途絶えてしまった。ファンは本人の肉声が聞かれず、寂しい思いをしただろう。

 周囲の雑音を封じて、自主トレに取り組みたいという気持ちはわかるが、2、3日に1回くらいナマでコメントするくらいのことはできるはずだ。露出を極力抑え、一つのメディアに独占させ、大金を獲得する所属プロダクションの方針ではないかという情報もあった。もし、事実そうならば、勘違いしているだろう。
 松坂が尊敬する、イチローが特定の人物やメディアにしか肉声で話さないのをマネているのだとしたら、やめた方がいい。引退したサッカーの中田英寿も、イチローと似たようなマスコミ対応だったが、格好いいと思っているのは、本人とその周辺だけだ。
 グラウンドで、沈着冷静なイチローのプレーをお手本にするのは大歓迎だが、グラウンド外ではヤンキース・松井秀喜を模範にしてほしい。どんな状況の時にも、マスコミ、ファンに懇切丁寧に応対する。だから、心配された手厳しいとされるニューヨークのメディアとも友好関係を保っている。
 「松坂の最大の敵は、ボストンのメディアだろう。辛辣なことでは、ニューヨーク以上だ。最初はもてはやしても、ちょっと勝てないと、くそみそ。大バッシングが起きるのは、目に見えている」。メジャーリーグに精通する球界関係者は、こう言い切っている。
 松井が誠実な対応でニューヨークのメディアを味方につけたように、松坂にもボストンのメディアをあの笑顔と誠意でつかみとってほしいと思う。WBCで世界一になり、MVPに輝いた松坂は、日本代表・王監督の素晴らしさを絶賛していたが、世界の王の姿を継承しているのが、松井だ。
 王監督は現役時代から、どんなスランプの時でも、ファンからのサインの依頼やマスコミの取材に嫌がることなく、応じた。「打てないのは、自分が悪いからだ。周囲の責任ではない。練習でスランプを脱出するしかない」。こういう揺るぎない信念を持っていたから、球団関係者やチームメートが恐縮しながらたくさんの色紙を持ってきても、笑顔でペンを走らせた。
 「江尻君、オレが打てなくてチームが負けた時は遠慮なく、〝王が悪い〟と書いていいよ。事実なんだから」と、まだ駆け出しの記者のころに言われた。「手厳しい記事を書くと、その日に必ず王さんはホームランを打つからなあ」と本音を漏らすと、さらにこう語った。
 「いいじゃないか。江尻君の原稿を見たオレが発奮して、ホームランを打った。王にホームランを打たせたのは、オレの記事だと思えばいいんだよ」。世界の王はどこまでもプロフェッショナルだ。松坂にもそんな正真正銘のスーパーススターになってほしい。

投稿日: 2007年02月22日

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江尻良文編集委員「球界に直言!」 ーーーー「江尻君、オレが打てなくてチームが負け

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