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ストレスは「だんじり祭り」で発散、テノール歌手・秋川雅史

秋川雅史 この世を去った人が、残された人に語りかける歌『千の風になって』に沢山の反響をいただいております。ここにきてなお一層、この曲のもつ重みと、歌う者の責任を強く実感しています。
 歌うことは昔から腹式呼吸で発声するので健康に良いといわれてきました。とくに僕などは体全体を使って声を出すので、コンサートで1曲歌っただけで汗びっしょりになって体力を消耗します。

 歌は全身運動でありスポーツだと思っているんです。だから体のメンテナンスやトレーニングは人一倍気を使っています。基礎体力をつけるために鉄棒でけん垂をしたり、腹式呼吸に重要な背筋を鍛えています。
 また歌は肺活量によってかなり左右されますので、僕はプールで潜水をしています。潜水で肺に負担をかけ肺活量を増やすんです。25メートルのプールを24往復泳ぐ。ちなみに僕の肺活量は5800(成人男性平均3600)です。 
 歌の練習は6畳の部屋に設置した防音完備の「アビテックス」(ヤマハ製)という0・8畳のレッスン室で。夕食の前に2時間歌う。
 本番では相当なパワーを要するので、その前に大好きなシュークリームを1個口にします。お腹いっぱいにしてしまうと横隔膜が圧迫されるので、ちょっとカロリー高めで量の少ないシュークリームが重宝するんです。
 パワーといえば結構肉好きでもあるんですよ。あればあるだけ食べちゃう。肉が食べられない日が続くとパワーがどんどん落ちる感じがする(笑)。
 それが原因か、健康診断では体脂肪が多いと注意されました。でも納豆とめかぶは毎日食べています。
 たまったストレスは故郷、西条市のだんじり祭り(10月15・16日)でおもいっきり発散します。この日はお酒も飲みますし、大きな声で騒いでのどに負担のかかることは全部やる。翌日はもうボロボロ。それでも「また1年頑張ろう」って気になるからやめられない(笑)。  
 そんな僕にも、実は歌をあきらめなければならないんじゃないかという、危機的状況に陥った時期があったんですよ。イタリアに留学して4年が過ぎたころ突然、声に雑音が入ってこれまでの声が出なくなってしまったんです。急きょ帰国して精密検査をしたんですが、原因不明。お医者さんに「君の歌い方が悪いんだ」って。でも歌い方は昨日今日変わったワケじゃない。目の前が真っ暗になりました。
 そこで3回のへんとう腺手術を受け、最終的に「舌根へんとう腺」が原因かも、ということで切除したら、元の声に戻ったんです。あの時期はまさに悪夢でした。
 だけど、そこから僕の歌うことへの意識が大きく変わったのも事実です。親譲りの優れた声で歌えることは当然だと思っていた。自分の歌を磨くためだけにうたっていた。だけどそれは違うんじゃないかって。自分の歌で世の中に貢献したいと思うようになったんです。「歌で人に活力を与えたい。それができなきゃ歌い手として存在する意味がない」と。
 僕にとって、コンサートに来てくださったみなさんが、「秋川の歌で元気になった」と思ってくださったらもう、これ以上の喜びはありません。これからも人の心に届く歌をうたい続けていきたい。
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あきかわ・まさふみ
テノール歌手。愛媛県西条市出身。声楽家の父の影響で声楽を目指す。国立音楽大学大学院修了後、イタリアに留学。帰国後、98年カンツォーネコンクール第1位受賞。日本クラシック音楽コンクール声楽部門最高位受賞。01年「パッシオーネ―復活の歌声―」でCDデビュー。昨年5月に作者不詳の詩に作家の新井満が訳詞・作曲した「千の風になって」をリリース。昨年末ヒットチャート1位に。来月から全国ツアー「千の風になって」を開催。問い合わせは(http://www.kdashstage.jp/akikawa/)(2007.02.14紙面掲載)

投稿日: 2007年03月06日

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