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「とろろ汁」一杯のため、東京から新幹線で静岡へ
■ゆめとツーリング
食べてきました「とろろ汁」。静岡市の丸子。「まるこ」と読んでしまいそうなのですが、「まりこ」と言うんですって。丸子は宿場町。少し前に、現在の東海道五十三次の夜景ばかりを紹介した記事が新聞に載っていて、ここが一番おもしろそうだったんです。
「上品に食べないで下さいね。音を立てて、ズル、ズルっと」
これが、お店の方の初カマシ! 運んでいただいたおひつには、麦ご飯がどっさり。とろろはどんぶりにたっぷり。行儀悪く食べること…これが一番おいしい食べ方、なんだそうです。お品書きの裏に「食べ方」が次のように書いてありました。
「麦めし、茶碗に半分盛ったら
めしつぶ泳ぐよに、とろろかけ
お薬味上からふりかけて
ザァザァ音たて流し込む
いいじゃん いいじゃん うまいじゃん」
う~ん、なるほど。それも、いいじゃん、いいじゃん。お教えに従って、麦ご飯をしゃもじで軽く一すくい。お椀に入れて、たっぷり、ぞろぞろ、じゅーんと、とろろをかけます。そうして、香味のねぎと漬物を上に。かき混ぜて、そろりと口の中に。
これはおいしい! 音を出す余裕もなく、絶妙のコンビネーションとなった、とろろと麦ご飯がすっとノドを通り過ぎていきます。ネバネバ感や、引っかかり感が全然ありません。とろろの色は少し土の香り色。東京で食べる「とろろそば」とは全然違います。真っ白じゃないんです。じつは一緒に出されたネギを見て「少し乾燥しているかな」と思ったんですけど、これも意外。ほどよくとろろの水分を吸って、漬物とともに、麦ご飯にマッチしています。
この味、ホントにオドロキでした。テレビや雑誌で紹介される有名店のお料理はすごく自己主張がきついと思います。自己主張が強烈だから、最初は驚くけど、次第に、嫌味やしつこさが鼻につくようになる…そんなことってありません? それに比べ、ここのとろろはナチュラルで、刺激するところがありません。舌になじんで、さわやか感が残ります。
訪れたお店は「丁子屋(ちょうじや)」さん。お店の中はいろいろ古いものが展示されていて、まるで小さな博物館といったイメージです。私が注文したのは、このシーズンだけという「四季彩とろろ」2000円でしたが、とろろだけでなく、添えられた旬の食材がとてもおいしかった。わらび、菜の花、竹の子…。それぞれ、上品に自分の味を出している、と思いました。(かまぼこもあるんです。私はかまぼこのちょっと魚くさいところが苦手。でも、この店のかまぼこはやわらかくてくささがありませんでした。)
な~に、「とろろ汁」? と思われるかもしれません。でも、ちょっとゴージャスでしょう? 東京から新幹線に乗り、静岡で降りて、国道1号線を西へ6キロほど、軽くサイクリング。「とろろ汁」一杯のため、これだけの時間とお金を掛ける私って、自分ながら、もう死にそう!!
(吉原 ゆめ)
