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最新!地震危険度ランク

確率論的地震動予測地図 損保各社の「地震保険」の保険料が今年10月、1966年の発売以来、41年ぶりに抜本改訂される。全体は7・7%の引き下げだが、茨城や山梨など10道県は30%も増額となった。安い(安全な)県と高い(危険な)県では、3倍以上の格差がある。そこで都道府県別の保険料ランキングを高い順に並べ、危険度ランクを作ってみた。ただし、危険度が低いからといって、決して安心することはできない。

 
【改訂のワケ】
 地震保険料はこれまで、国立天文台が編纂した理科年表に掲載された被害地震のデータを参考に算出してきた。今回、参考データを政府の「地震調査研究推進本部」が2年前から発表している「確率論的地震動予測地図」=地図・左上=に変えたことで、保険料が見直されたわけだ。
 「以前は、こうした地図がありませんでした。理科年表だと、古文書などの文献に記録のある過去500年の375回の地震だけがデータ数でした。予測地図では震源モデル数が73万地点と、より詳しいデータが得られた」(損害保険料率算出機構)
 
【危険度アップ】
確率論的地震動予測地図 この新データから、県別に危険度の評価を高い順に「4等地」から「1等地」に区分し、新たに色分けしたのが地図・右。現行の区分=地図・左下=と比較すると、31道府県に区分の変更があった。
 例えば、最も危険度の高い「4等地」は、千葉、愛知、三重、和歌山の4県が「3等地」から引き上げられ、徳島と高知は「2等地」から2階級もアップ。東京、神奈川、静岡は「4」に据え置かれた。
 「3等地」は、埼玉と大阪が据え置かれ、茨城、山梨、愛媛の3県は「2等地」から、香川は「1等地」からの引き上げとなった。
確率論的地震動予測地図 逆に、長野、岐阜、滋賀、京都、兵庫、奈良は「3等地」から「2等地」に引き下げられた。福井に至っては、「3等地」から「1等地」と2階級の危険度ダウンとなった。
 今回、茨城、千葉、愛知、三重、和歌山、徳島、高知など太平洋沿岸県の危険度が軒並みアップしており、改めて東海・南海沖地震の恐怖を身近に感じる結果となった。
 
【石川が安全!?】
 だが、今回の改訂で、最も安全な「1等地」になったからといって、安心してはいけない。
 先月25日、輪島市などを襲った「能登半島地震」(M6・9)で死者1人、重軽傷者約297人、家屋全半壊794戸の被害が出た「石川県」だ。地図2と地図3を見比べれば分かる通り、石川県は、「2等地」から「1等地」へと危険度評価が下がっている。
 「石川県が引き下げとなったのは、県内に存在する活断層で震度6弱以上の地震が起こる可能性が、予測地図によると、2000年に一度と小さかったからです」(算出機構)
 それでも、大地震が起きたわけだ。
 
【危険度マップの根拠】
 そこで、今度は予測地図を制作した推進本部事務局に聞いた。

――この地図は、どういう根拠から
 「簡単に言うと、海溝型(プレートの衝突)地震の診断とともに、全国に約2000ある活断層のうち、大きい順に98を選んだ。そのうえで、1平方キロに区切った特定地点で、30年以内に地震が起きる確率に、その地震が震度6弱以上となる確率を掛け合わせた予測を全国で展開した」

――能登は緑色(確率0・1%以下)だが(※注記)
 「今回の地震は海底断層が震源のようですが、見えないため、認識しづらい。こういう断層はいっぱいあって、確率0・1%であっても、その背景には上乗せ分があると考えてください。それがどのくらいなのかは分からないのですが、あのぐらいの地震はいつ、どこで起こってもおかしくないんです」

 そもそも、地図の赤が濃い部分は「30年以内に震度6弱以上の地震が起こる確率が26%以上」で、黄色は「確率◯%以上」という。
 その数字って、「いつ、どのくらい危ない」のか、あまり実感できない。結局、「1等地」に住む方も「備えあれば憂いなし」の格言をキモに命じるしかなさそうだ。


■経済ジャーナリスト・萩原博子さんに聞く
【増加の加入率】
 全世帯に対する地震保険の加入率は、05年度で20・1%。
 「95年の阪神淡路大震災が契機となって地震に対する意識が高まり、年々、加入率、付帯率とも上がってきています」(日本損害保険協会)
 阪神前の93年、加入率は7・0%だった。ただし、世帯加入率は損保協会員の損保会社の地震保険だけの数字。地震共済などを含めると、現在、54%程度の家庭が「地震に対する経済的な備え」をしているもようだ。
 地震保険は単独では契約できず、火災保険に付帯しなくてはならない。その場合、火災保険で契約した保険金額の30%―50%の範囲で入れるが、建物は5000万円、家財は1000万円が上限となっている。
 保険料はランク表の通りだが、81年以降に新築された建物の場合、10%割引となる。また、「住宅の品質確保に関する法律」などで定める耐震性能の等級によって、10%―30%の範囲での割引もある。

【得か、損か】
 地震保険は入るべきなのか。
 経済ジャーナリストの荻原博子さんは、「保険料は安くないし、地震が起きても全額出るとは限らない。一旦は入っても地震が来ないからと、やめてしまう人も多いんですが、そこで地震が来たら悲劇です。入った方がいいかどうかは難しいが、入らないなら、その分を地震に備えて積み立てておく手もある。やっぱり心配というなら、家計と相談して入った方がいいし、入るなら続けた方がいい。税金も控除されるようになり、5年まとめて支払うと、1年分ぐらいは安くなります。住宅金融支援機構からお金を借りている人なら契約している火災保険に付帯すると、8%安くなります」と話す。

【角さんの一声】
 66年から始まった地震保険制度。きっかけは、その2年前の64年、死者26人を出した「新潟地震」の被害状況を視察した当時の田中角栄蔵相が、気乗りしない損保業界を押し切って国との共同運営方式で誕生させた。支払わずに済んだ保険料はプールされ、将来の支払いに充てる仕組み。販売する代理店への手数料は別として、損保会社に利益が入らないのが建前だ。

【地震保険金の支払いランキング】
発生日 支払い額 等級
(1)阪神淡路    95年1月17日  783億円 2
(2)芸予地震    01年3月24日  169億円 2・3
(3)福岡県西方沖  05年3月20日  163億円 1
(4)新潟県中越   04年10月23日 146億円 2
(5)十勝沖     03年9月26日   60億円 2
(6)福岡県西方沖  05年4月20日   52億円 1
(7)鳥取県西部   00年10月6日   29億円 1
(8)宮城県北部   03年7月26日   22億円 2
(9)宮城県沖    03年5月26日   19億円 2
(10)宮城県沖    05年8月16日  14億円 2
(11)北海道東方沖  94年10月4日  13億円 2
(12)雲仙普賢岳噴火 91年6月3日   13億円 1
(13)三陸はるか沖  94年12月28日 12億円 2

《ランク表の見方》
 保険金1000万円当たりの年間保険料。新料金は、木造の耐震性能が向上していることや、等地が2段階アップになった場合も激変緩和措置として引き上げ率の上限を30%にとどめたことにより、木造で9%、非木造で5%、全体では7・7%の平均引き下げ率となった。都道府県付けた□数字は、新しい等地区分。


注記
 掲載した予測地図は公表当初の05年版だが、「緑色が安全だと思われてはいけない」との理由で、翌06年版からは確率区分はそのままに、緑→黄、黄→オレンジなどと色づかいだけを変更して公表。今週中にも公表予定の07年版も同様という。(2007.04.16紙面掲載)

投稿日: 2007年05月05日

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