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介護はプロに任せて患者は平和に…山口美江さん
「あんたダレ?」
「私はあなたの娘ですけど」
68歳まで貿易会社の社長を務めた父が、引退4年で極度のアルツハイマーになり、昨年9月、腸ねん転で他界しました。ある朝、父が5時にスーツ姿で庭掃除をしているので、「どうしたの。何でスーツなんか着ているの?」って言ったら、「名古屋に船が入ってね。いまから出張に行かなきゃいけない」って。口元には泡みたいなものが出ていて、2、3日前から飲んでいた風邪薬のビンが3本空。「まさか、飲んだことを忘れちゃった?」
その後は、夜中の徘徊(はいかい)で血だらけになって帰ってきても、覚えていない。計算の意味がわからない。シャツの袖に足を通し、酢の物にはケチャップ。危険で、何度「縛ろう!」と思ったか…。
たった1カ月で要介護1から4に進行したんです。どんどん向こうの人になっていく父の姿を見て、「悪魔が乗り移った」としか思えなかった。私も精神的に相当参っていました。私ひとりで面倒をみるのは無理という区の判断で、父は拘束され痴呆(ちほう)病棟のある病院に入院したのですが、病院では安定剤ひとつ飲ませるにしてもさじ加減が効いている。家ではメーカーの薬を症状に応じて服用させていたのですが、強い薬だと返ってシヨック状態を引き起こしたりしました。看護師さんは、「子供がつきまとってる!」という父の幻覚に、「あとで退くように言っときますね」と軽くいなして、否定しない。だから患者は平和にボケていられるんですよ。私は、絶対プロに任せることをお勧めします。病院でいろんなお年寄りを見て思ったことは、人は足腰から弱ってくるということ。
だから私は、父の病気の進行を遅らせるために飼ったパグ犬のボーイを乳母車に乗せて、家から片道40分の中華街のお店まで毎日歩いています。
ボーイは心の癒。
お肌のむくみの解消を兼ねて毎朝、半身浴もしています。朝食は芽かぶと納豆、スープ春雨と竹輪か、はんぺんが定番。
父が糖尿系だったので、れんこんのへルシーハンバーグを作るとか。ブイヤべースやチゲ鍋も得意。甘いものは苦手で激辛が好き。中華街の「麻辣醤」をバンバンかけます。極めつけは天然のコラーゲン。豚足屋さんがサービスでくださる豚足と豚耳をラップでチンして、ドドッと出たコラーゲンを、おしょうゆをかけていただく。これが元気のもと。
ストレス? 昔から思ったことはバンバン言っちゃう方なのでストレスはたまらない。将来は、キャスターに復帰?それは無理無理(笑)。
老後は父のようにボケないで、ポックリ逝くのが理想ですね。
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やまぐち・みえ
元キャスター、女優。横浜市出身。上智大学外国語学部卒業。通訳を経て、テレビ朝日「CNNへッドライン」で二ュースキャスターを務める。その後、フジッコ漬物百選のCM「しば漬け食べたい」のセリフで一躍脚光を浴び、「天才たけしの元気が出るテレビ」などで活躍。1996年芸能界引退。横浜中華街で輸入雑貨店「グリーンハウス」を経営。現在、父親の介護体験を執筆中。(2007.06.06紙面掲載)



