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fujisan.co.jp社長「雑誌離れ食い止めたい」

電通が発表した昨年の広告費調査によると、インターネット広告費は3630億円で、雑誌の3887億円に肉薄。広告分野では今年、ネットが雑誌を上回るのは確実な情勢だ。言われてみれば最近、雑誌を買う機会が減ったなと思い起こす人も多いだろう。そんな“雑誌離れ”の流れを、ライバルであるはずのネットを使って転換しようとしているのが、雑誌専門ネット書店「fujisan・co・jp」だ。同サイトを運営する富士山マガジンサービスの西野伸一郎社長(42)=写真=に、雑誌とネットの今後、デジタル雑誌の展望などを聞いた。
――まず、業務内容を教えてください。
「当社は日本初の雑誌定期購読エージェンシーです。従来は出版社や書店で個別に対応していた雑誌の定期購読注文を、サイト上で一括して受け付けるのが特徴です」
――現在扱っている雑誌の数は?
「2002年12月に241誌で立ち上げ、この春には扱い数が2500誌を超えました。バックナンバー販売を含めると3万冊以上の在庫があります。また、今年2月にはパソコン画面上で読めるデジタル雑誌の販売も始めました。まだ40誌ほどですが、今後も増えていくでしょう」
――創業から5年足らず。急成長ですね。
「出版社―とくに大手出版社にとって、定期購読者の比率は低く、あまり熱心に取り組んでいない。そこをわれわれが代行するというので、多くの出版社が賛同してくれました。定期購読ユーザーの何割かは購読期間終了後も確実に継続する固定客ですし、扱う雑誌が増えることで、ユーザーは日々増えています。バックナンバーも着実に売れており、(個々の売り上げが積み重なり、全体の収益を大きくする)ロングテール効果も徐々に現れ始めています」
――利用者のメリットは?
「現在の売れ筋は語学学習関連やビジネス誌、書店売りの少ない専門誌ですが、定期購読の場合、最大60%割引する雑誌もあるので、ユーザーのメリットは大きい。定期購読なら買い忘れることもない。しかも当サイトは、出版社を横断して一括で注文できるので、重宝がられています」
――そもそも、創業の経緯は?
「大学卒業後、NTTに入り、ネットビジネスの研究・開発をしていましたが、ネット書店『アマゾン』創業者のジェフ・ベゾス会長と面会したのをきっかけに、日本法人を立ち上げました。主に書籍販売を担当していたのですが、書籍よりも雑誌のほうが市場が大きいにもかかわらず、雑誌を扱うサイトがほとんどないことから、独立して雑誌のネット書店を立ち上げようと考えたのです」
――出版業界はネットに押されて低迷しています。ネットで雑誌を売るというのは“逆転の発想”ですね。
「読者はネットに流れているように見えますが、情報を得たいという欲求自体は以前と変わりはない。ネット上の断片的な情報と異なり、体系的に知識が得られる雑誌をネットで簡単に入手できるとわかれば、それを利用しようというユーザーは必ずいます」
――デジタル雑誌への期待も高まりますね。
「まだ始まったばかりですが、すでに人気のコンテンツもあります。たとえば、週刊の英字新聞『毎日ウィークリー』は通常の記事に加えて英文を読み上げる機能が付いており、英語学習者に好評です。デジタル雑誌は場所を取らず、記事検索も容易なので、便利さが認知されれば雑誌全体の活性化にもつながると思います」
――fujisan・co・jpの今後は?
「現在は出版社からの手数料収入が主な収益源ですが、今後は雑誌の目次情報やランキング情報などを利用した多用なサービスを提供していきます。また、ユーザーの購読データをもとに、同種の雑誌や関連商品を推奨・販売する機能も付けていきたいですね」(2007.06.26紙面掲載)
