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「連戦連敗でも戦う」ドクター・中松&羽柴秀吉の“真意”
7月29日投・開票の参議院選挙には、多くの有名人が出馬する。そんな選挙戦に必ず彩りを添えてくれるのが、連戦連敗の記録を更新している発明家のドクター・中松氏(78)と会社役員の羽柴秀吉氏(57)だろう。なぜ、2人は選挙にこだわるのか。その真意を直撃した。
■ドクター・中松氏
【シューズの逆効果】
9回目の選挙戦に挑む中松氏が今回、掲げるのは「ハイブリッド政治」という。「私は戦前、戦後の歴史を知識としてだけではなく、体験してきた。これをエンジンとして研究や発明を加え、ハイブリッド政治をする」
91年の東京都知事選が初挑戦だった。この際、“発明”したフライングシューズは今も忘れないないアイテムだが、「効果がありすぎて、別のイメージをもたれてしまった。現在の政治を飛び越えて、明るい未来へという気持ちを込めていた。だけど、『ピョンピョン跳ねる不マジメな人』という印象をもたれてしまった」と振り返る。
その後も出馬を繰り返しているのは、「悔やんでばかりはいられない。私の孫の世代が驚くべき悲惨な状態になっている。正していきたい」からだという。
【144歳まで挑戦】
自身の研究によると、144歳まで生きることが“判明”しているそうで、「都知事選なら、あと16回は出れる」と計算する。
「144歳まで生きるなら、私はまだ中年。(落選に)悔しい気持ちはなく、144歳までには当選するでしょうから、今はプロセスです」とあくまで前向きだ。
自称「中年」も78歳ともなれば精神・肉体ともにボロボロだろう。
それでも、「食べ物や飲み物に細心の注意を払っている。昨年は(ジムで)35トン(!?)を持ち上げた。今年は50トンを持ち上げたい。ネバーギブアップの強い精神力で、今後も(出馬を)続ける」と、ギネス級の記録でも目指すのか。
全選挙戦で供託金を没収され、総額は約2500万円になるが、「本当に日本を心配している。僕がやらなければいけない」と、カネの問題は些事に過ぎない。
【秘策の発明】
だが、家族はそうもいかない。「どの候補者もそうでしょうけど、家族は反対する」と、最初は大反対だった。「(政治は)世界が違うから、気楽に暮らした方がいいでしょうって言われたが、最近は協力してくれている」と、ポスター張りを手伝ってくれている。
中松氏は、選挙戦のたびに“画期的”な発明をしてきた。消えた年金問題を憤慨しているだけに、「今回は瞬時にデータが照合できる機械の発明では」と聞くと、「それは無理」と一言。それでも、秘密の発明品は用意しているそうだ。
■羽柴秀吉氏
【カブトを脱ぐ秀吉】
11連敗中の羽柴氏は「選挙は戦いだ!」と、戦場を北海道選挙区に移して玉砕戦に臨む。
毎回、鎧(よろい)にカブト姿のパフォーマンス戦を展開するが、今回は“働く北海道の開拓者精神”と銘打ち、鎧ではなく作業着で戦うそうで、「甲冑はね…これからの季節じゃ暑いでしょ」と現実的だ。
北海道を舞台に選んだのは、初の次点と大健闘した夕張市長選に味をしめたからだろう。
「私は、あちこちで戦ってファンを増やしている。落選ではなく、天下取りに向け、領土を拡大していると考えている。夕張市長選が終わってから人気が出た」
【夫人も大賛成】
夕張市長選と2006年の五所川原市長選を除く9選挙で、供託金を没収されてきた。総額は約2500万円にも及び、一部では「金持ちの選挙道楽」とも揶揄されている。
それでも、夫人は約30年前の初選挙から、「政党に所属するのは反対だけれど、国民の暮らしをよくするため、あなたの私財を投げ打ってでも頑張って」と応援してきたそうだ。
4月の東京都知事選を断念させたのも夫人だった。「私は夕張より東京に出たかった。(都知事選用に)ポスターも全部用意していた。でも、(夫人から)『石原(慎太郎)さんを破るのはきつい。それより、夕張のお年寄りにあんたの私財を使いなさい』と言われ、方向を変えた」
【出馬するワケ】
羽柴氏は、かつて住職から「豊臣秀吉の生まれ変わり」と言われたことがきっかけで現在の名前を名乗り、選挙に挑み始めた。
そして連戦連敗…。なぜ、カネをドブに捨てるように戦い続けるのか。
「戦国武将の考えでいうと、領地拡大です。どこの政党に加わるわけでもなく、自分のお金で選挙を続け、地盤を築いているんです。天下のご意見番になる」
「日本の政治家は2世、3世で苦労も知らない者がたくさんいる。汗水たらして働いていないから、国民の気持ちもわからない。用心棒の手下のような人が多い。選挙は面倒くさいし、金もかかる。でも、どうにかしないといけない」
「私は貧乏のどん底からはい上がった。政治家を職業にして落選すれば飯が食えないような、人の税金をあてにしている人が政治をやったらおかしい。本当の政治家は自分の金で活動する」
一文無しになるまで…ということか。
【羽柴氏の選挙歴=11戦11敗】
■1978年 金木町町長選
当選者 大橋忠勝 4677票
羽柴 4人中3位 649票
■99年 東京都知事選
当選者 石原慎太郎 166万4558票
羽柴 19人中10位 2894票
■2000年 大阪府知事選
当選者 太田房江 138万0583票
羽柴 4人中4位 2万6781票
■00年 衆院選(大阪1区)
当選者 中馬弘毅 8万7068票
羽柴 4人中4位 6347票
■01年 参院選(比例代表区)9390票
■02年 長野県知事選
当選者 田中康夫 82万2897票
羽柴 6人中5位 9061票
■03年 大阪市長選
当選者 関淳一 36万8433票
羽柴 5人中4位 3万2126票
■05年 五所川原市長選
当選者 成田守 2万4939票
羽柴 2人中2位 5718票
■05 衆院選(神奈川11区)
当選者 小泉純一郎 19万7037票
羽柴 5人中5位 2874票
■06年 五所川原市長選
当選者 平山誠敏 2万1174票
羽柴 3人中3位 1415票
■07年 夕張市長選
当選者 藤倉肇 3330票
羽柴 7人中2位 2988票
(敬称略)
【精神科医・日向野春総氏が分析】
「彼らは選挙マニアです」と診断するのは、常楽診療所の所長で精神科医の日向野春総氏。
「彼らは、選挙で気分が盛り上がる。イベントのときしか自己アピールできないと確信している。勝ち負けなんて関係ない」。中松氏らに当落は関係なく、「自分の名前を連呼して認知されることこそが目的」とみる。選挙マニアになりやすい人は、「比較的狭い空間で生活している人」という。
「中松氏は発明を小さな視野でやっている。(2連戦中の建築家)黒川紀章氏も狭い部屋の方が案が出るでしょう。そうすると、鬱積してくるので、(気持ちを)解放したくなる。世間に評価されたことのない人は選挙なんて考えないが、一度華やかな生活を送ると、暗いトンネルから出たくなる。選挙中は輝いているから、うまくリラクゼーションできる」
その上で、「奇抜な乗り物に乗り、みんなの視線を感じるのが趣味になっている。当選は関係ないから、裏金もなく自分の金を使う。豪華な遊び」と総括した。(2007.06.27紙面掲載)



