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ストレスで免疫力低下し、顔面神経まひに
Tさん(43)は、朝目覚めてからしばらくして異変に気付いた。いつものようにベッドに横になったまま、しばらく天井を眺めて考え事をしていたTさん。なんだか目が乾くのを感じつつ洗顔に向かった。顔を洗って歯を磨いていると、どういうわけだか口の右端からよだれが垂れてくる。何事かと思ってその日初めて鏡を見ると、そこには左右非対称にゆがんだおのれの顔が映っていた…。
「顔面神経まひに気付くきっかけは、ひたいにシワを寄せようとしてもできなくなる、まばたきができずに目が乾く、あるいはTさんのように開いた口が閉まらなくなって気付くことも少なくありません。
また、顔面神経は舌にもつながっているので、味覚の変化が起きることもあります」と語るのは、東京・新宿区にある福内ペインクリニックの福内明子院長。福内院長によると、この顔面神経まひの原因として精神的なストレスが介在しているケースも多いという。
「顔面神経まひは脳出血や脳梗塞(こうそく)が原因となって起きる“中枢性”と、神経が脳幹から顔面に至る途中で障害がおきる“ 末梢(まつしよう)性”に二分されます。このうち末梢性の顔面神経まひには、顔面神経に栄養を送る血管が収縮したり、クーラーや寒風を顔に受け続けることでまひを起こす『ベルまひ』や、ヘルペスウイルスによっておきる『ラムゼイ・ハント症候群』などがありますが、Tさんの場合はベルまひのほうと思われます」
というのも、Tさんは仕事の上での過労に加えて、子どもが学校でいじめに遭うなど家庭での問題も重なって、きわめてストレスフルな状態だったのだ。
「ベルまひの発症には免疫力の低下も関係していて、精神的なストレスで免疫力が急激に下がると発症のリスクが高まります」と福内院長。
とりあえず近所の内科医院を受診したTさんは、麻酔科に行くことを勧められ、そこで星状神経節ブロックという治療を受けることになる。
「これは頚椎の近くにある星状神経節という神経節に薬剤を注射して、その神経がつかさどっている血管を拡張させることで滞っている栄養補給を再開させるもので、非常に高度な技術を要する注射です」(福内院長)
これと並行してステロイド剤とビタミンB12の服用を始めたTさん。発症から治療開始までの期間が早かったこともあって、1カ月が過ぎるころには、顔のゆがみもほぼ元に戻り、自然な表情がよみがえった。
しかし、そうはいっても元のストレスは解消したわけではなく、いつまたまひが再発するかもわからない。
「“まひ”という心配の種が一つ増えたことが新しいストレスになりましたよ…」と苦笑するTさんの悩みは果てしない。(2007.08.08紙面掲載)
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トラックバック時間: 2007年08月28日 09:39
