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ポッコリ腹も抑える「足ふりこ体操」
能の舞台を見たことはあるだろうか。すり足での移動や、助走なしにその場で垂直に飛び上がるジャンプなど、能楽師の行う動作は、想像以上に高い身体能力を必要とする。にもかかわらず、80歳や90歳といった高齢の能楽師が現役で舞台をこなしている。高齢になっても衰えない身体能力の秘密は何か? それは体の奥にある筋肉、深層筋にあった。
「能の動作の特徴は、日常の動作にはない、静かで微妙な動きであるということ。じつは、こうした動作こそ深層筋を使うために重要」と能楽師、安田登氏(下懸宝生流)は語る。
深層筋の重要性については近年、よく知られるようになった。とくに、腰の辺りから両足の付け根へ繋がる「大腰筋」という深層筋が発達しているほど、高齢でも病気やけがと無縁で、寝たきりにならない傾向があると指摘されている。
大腰筋は足を上げるさいに使われ、スムーズな歩行を支えるほか、背骨や骨盤、股(こ)関節の位置を正しく保つうえでも重要な筋肉。大腰筋が衰えると、姿勢の悪化や骨盤のゆがみを招き、さらには腰痛、股関節痛などの症状にもつながる。内臓が下垂して下腹部が突き出す「ポッコリ腹」など、体形の崩れも招く。ぜひとも衰えさせたくないが、一般的な筋力トレーニングで鍛えるのが難しい。
「大腰筋は大部分が内臓の奥に隠れており、体の外からは見ることもさわることもできず、意識しにくい。そのために日常の動作ではあまり使われず、脳が筋肉の動かし方を忘れてしまっていることがある。現代人、とくにデスクワークで座りっぱなしの人は、若くても大腰筋が著しく衰えているケースが目立つ」と安田氏は指摘する。
だが、大腰筋トレーニングに役立つ簡単な動作がある。安田氏考案の「足ふりこ体操」だ(やりかたはイラスト参照)。
時計のふりこのように足を振るだけの簡単な動作だが、体に負担をかけることなく、大腰筋が活性化し、自然に使えるようになる。
その結果、背すじが伸びて姿勢がよくなり、体形に影響が表れることも。足が長くなったと感じたり、歩きやすくなったりする人もいる。股関節や骨盤のゆがみが正される効果も期待でき、腰痛や股関節痛の防止にも役立つ。
「足を振ったときに上体が前後に揺れないように注意。体が揺れてしまうと、大腰筋を動かすことにならない。また、この体操は、大腰筋を意識的に動かして、効率のよい使い方を脳に覚え込ませるのが目的。筋肉に負荷をかけて鍛えることが目的ではないので、やりすぎは逆効果。片足につき一分程度、一日一回行えばよい」とのこと。
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【足ふりこ体操のやりかた】
10センチくらいの高さの足を乗せる安定した台を用意する。電話帳を2冊重ねて使ってもよい。
(1)台に片足を乗せ、腕を壁につけて体を安定させる。このときに正面から見て、骨盤の左右(ウエストの下の骨が出っ張った個所)が水平になるように姿勢を意識する。上半身に余計な力を入れないように注意し、背中をスッと伸ばす。
(2)自由なほうの足を股関節からゆっくりと静かに前後に振る。体はまっすぐに保ち、足だけを股関節から動かす。ひざに力を入れないように。
(3)振るにつれて、大腰筋が活性化して伸びてくるのをイメージする。「足が腰から伸びている」、さらには「胸から伸びている」というイメージで振り続ける。片足を1分~2分振り続けたら、反対側も同様にする。
※注意・目安としては1分間に10往復くらいのテンポで。あくまでも小さい動きをゆっくりと行うことがポイント。(2007.08.14紙面掲載)
