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言葉のタネ明かし―「ブ然」の意味
大相撲秋場所が9日から始まったが、出場停止処分を受けた横綱朝青龍は病気治療という名目でモンゴルに帰っており、白鵬に一人横綱の重圧がのしかかっている。
一連の朝青龍騒動のなかで、彼の表情を伝える際によく使われたのが「ブ然とした」という表現だ。いつ見ても、いかにもふてくされてブスッとした顔つきだから、つい「ブ然」を使いたくなるのも無理はない。
しかし「ブ然」に該当する漢字は「憮然」で、これは「驚いたり失望したりして 茫然(ぼうぜん)とするさま」(現代国語例解辞典)を表す語。けっして「ブスッとした様子」を表す言葉ではないので、注意が必要である。
とはいいながら実は、
「不満を感じながらどうすることもできず、押し黙るさま」などと、新しい用法を認める辞書(旺文社国語辞典)も出てきたので、一概に誤用とも言えなくなった。
「 愕然(がくぜん)」も、若い人が勘違いしやすい言葉のひとつだ。「愕」は驚愕の愕で、「驚く」という意味をもつ。だから「愕然」は、驚く様子を表す言葉なのである。
先日、電車内で大学生らしき者が「歩きづめで 膝(ひざ)がガク然としている」と話すのを聞いた。疲労のあまり膝がガクガクしていたものかと思われたが、こんな日本語を聞かされた当方は、それこそ愕然…いや茫然自失といった体だった。(産経新聞大阪編集局校閲部長 清湖口敏)(2007.09.13紙面掲載)

