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早期がん発見率10倍の新兵器登場
がんを見つける血液検査といえば「腫瘍(しゆよう)マーカー」。採血だけ、と手軽でいいが、早期のがん発見に関しては、CTやMRIなどの前には無力に等しかった。そうした中、早期がんの発見率が従来の10倍という最強の腫瘍マーカーが登場。年内にも、保険適用され、医療現場に導入される見通しだ。血液検査で、どこまでがんが分かるようになるのか。
■脇役だった従来のマーカー
腫瘍マーカーは、がん細胞を持つ人だけに存在する特異な成分の有無を調べる血液検査。大腸がんなど消化器系腫瘍で上昇する「CEA」、肝がんの「AFP」、 膵臓(すいぞう)がんや胆道系がんの「CA19―9」など、各マーカーによって得意、不得意ながんがある。また、CEAは喫煙や加齢でも数値は上昇するし、CA19―9は糖尿病でも反応するなど、必ずしも万能とはいえない。そのため、もっぱら術後の再発や転移をみる指標として用いられている。
「従来のマーカーは増殖するがん細胞が作るタンパク質や分泌するホルモンなどの物質を血液中からひろう方法なので、がんが相当進行していないと精度が悪い」と説明するのは、新マーカーの開発にも携わった埼玉医科大学消化器・一般外科の竹田明彦准教授。
例えば、CEAの大腸がん進行度別の陽性率。初期の0―Ⅰ期が2―3%、Ⅱ期が20%、Ⅲ期が60%、末期のⅣ期が80%。つまり初期の大腸がんでは100人中3人しか引っ掛からない。
■新兵器はがん発見5割の確率
ところが今回、新たに登場する腫瘍マーカー「P53抗体」。がん細胞をもつ人の体内だけに作られる抗体を測るというもので、その陽性率は、0―Ⅰ期30―40%、Ⅱ期40%、Ⅲ期も40%、Ⅳ期は30%台。早期がんに対して格段に成績が向上している。
「Ⅰ期は約10倍、Ⅱ期は2倍。早期がんに強いのがこの抗体検査の特徴。決して高率とはいえないが、従来のマーカーと組み合わせることで、血液検査だけでも40―50%ぐらいの確率でがんの疑いが分かるといえるでしょう」(竹田准教授)
厚労省がこの新マーカーを検査薬として承認しているのは、食道がん、大腸がん、乳がんに対してのみ。ただ、頭頸部がん、子宮がんなどでも、同レベルの研究データが得られており、今後さらに対象がんは広がりそうだ。血液検査ですべてのがんを発見する、そんな時代は着実に近づいているようだ。(2007.10.10紙面掲載)
