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瀬名秀明「イヴのみる夢」(8)―「ロボットと運動する楽しさ」
高齢者の福祉施設で暮らすBさんは、このところ毎朝のラジオ体操を楽しみにしている。かつて技術者だった彼は、もともとロボットが好きだ。以前この福祉施設では専門のトレーナーが一緒に体操していたのだが、最近はヒト型ロボットが登場して、ラジオに合わせて体を動かす。
ロボットに負けていられない、とBさんたちも体を動かすようになって、今はとても調子がいい。それにロボットと一緒に運動するのは予想以上におもしろいのだ。
1997年から日本は「ヒューマノイドロボットプロジェクト」を推進し、人間と共生・協調できるヒト型ロボットの開発を目指した。このとき研究者たちの間で議論となったのが、「なぜヒト型ロボットは必要なのか」という根本的な問いかけだった。
しかし当時の本田技研の社長が「ヒト型ロボットと一緒に散歩してみたい」と語ったように、私たちはロボットと一緒に運動することに本能的な楽しさを感じるらしい。相手がヒト型ならなおさらで、つい私たちはロボットの動きに合わせて手足を動かしてしまう。ヒト型ロボットはまずリハビリや介護・福祉の現場で人気者になるだろう。
ヒト型でなくても、ロボットは近い将来にスポーツ仲間となってくれるはずだ。世界中のロボット研究者が自作ロボットでサッカー競技を繰り広げる「ロボカップ」大会では、車輪型のロボットリーグならすでに人間とボールのけり合い遊びができるほど技術が洗練されつつある。その様子を会場で見るのは感動的だ。
サッカーの練習相手をするロボットは遠からず市販されるだろう。ロボットで健康増進。これなら老後も楽しそうだ。
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せな・ひであき
小説家。1968年静岡県生まれ。96年東北大学大学院薬学研究科(博士課程)修了。95年、大学院在籍中に執筆した「パラサイト・イヴ」が日本ホラー小説大賞受賞、155万部のベストセラーに。主な著書は「デカルトの密室」「ハル」など。(2007.10.26紙面掲載)
■瀬名秀明「イヴのみる夢」
(7)「ペットが分身に?」
(6)「オヤジ臭さ」撃退!
(5)「人間の脳と機械の体を"融合"」
(4)「自分の脂肪でケータイ充電」
(3)「自分の一部を機械が操作」
(2)「ゲノム情報を読み取る」
(1)「ミトコンドリア占い」

