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瀬名秀明「イヴのみる夢」(9)―アルツハイマー病予防で残りの人生謳歌
アルツハイマー病の予防検診を受けてくれと会社でいわれ、Cさんは自分が40歳になったことを改めて実感した。日本では数年前から40歳になったすべての人を対象に、血液と脳の検査が義務づけられた。
ほんの100年前まで人々は40、50歳で亡くなっていたが、今や平均寿命も80歳以上。かつて歴史上誰も経験したことのない超高齢社会がやってきたからこそ、人はアルツハイマー病と立ち向かわなければならなくなったのだ。
アルツハイマー病ではまずアミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳の神経細胞の外に溜まり(老人斑)、さらにタウタンパク質が神経細胞の中に溜まって(神経原繊維変化)、神経細胞が死んでゆくことが知られている。残念ながら今もアルツハイマー病の根本的な原因解明と治療法の確立は実現していないが、期待の持てる研究もある。
理化学研究所脳科学総合研究センターの西道隆臣チームは、アミロイドβを分解する酵素が脳内に存在することを見つけ、さらにその酵素を活性化させる物質も同定した。ここからすぐれた新薬が生まれるかもしれない。
ただアルツハイマー病は複雑なので、ひとつの薬物だけで劇的に治すことは難しいだろう。そこで大切なのは簡単な診断法の確立だ。西道さんたちはこれまで死後解剖しなければ確認できなかった老人斑を、外から映し出す技術の開発にも成功している。これなら生きているうちに病態の進行度がわかる。
アドバイスを受けて身が引き締まるCさん。
「早寝早起きが肝心、リスク軽減のために抗酸化物質の摂取も心がけてくださいね。今日から第二の人生40年の始まりですよ」
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せな・ひであき
小説家。1968年静岡県生まれ。96年東北大学大学院薬学研究科(博士課程)修了。95年、大学院在籍中に執筆した「パラサイト・イヴ」が日本ホラー小説大賞受賞、155万部のベストセラーに。主な著書は「デカルトの密室」「ハル」など。(2007.11.02紙面掲載)
■瀬名秀明「イヴのみる夢」
(8)「ロボットと運動する楽しさ」
(7)「ペットが分身に?」
(6)「オヤジ臭さ」撃退!
(5)「人間の脳と機械の体を"融合"」
(4)「自分の脂肪でケータイ充電」
(3)「自分の一部を機械が操作」
(2)「ゲノム情報を読み取る」
(1)「ミトコンドリア占い」


