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建築家、天野彰の語る家(4)「子供に部屋を貸す」

■狭・楽しく生きる
天野彰の語る家 夫婦のための家には子ども部屋はない。本来、人の家は鳥とは違って夫婦の愛の巣であっても子育てのための巣ではない。なぜなら夫婦が子を産み育て、なお末永く暮らして死ぬまで生きていくための巣だからだ。

 私の住まいの設計は、はじめからプランに「子ども部屋」の記載がない。あっても「予備室」か、単に「洋室1」か「洋室2」となる。なぜなら家は夫婦のものであって子のためのものではないからで、あえてそれを強調するためでもある。中には「あれ?子ども部屋がない?」などという親もいるが、そんな場合それは「客室」か「夫書斎と妻アトリエである」と答えることにしている。

 けげんな顔をする夫婦に、とぼけて「あっ、お子さんがいらしたんですね?それでは、これらの部屋を子ども部屋として大人になるまで“貸す”ことにされてはいかがですか?」と進言する。

 「子供部屋」のない設計図は親の部屋を一時的に子供に貸すことを考える。これで子どもは親から部屋を借りているのだと自覚する。「夫書斎」には本当に父親の机や本棚や本、さらにはゴルフバッグや昔の写真などを飾っておく。子どもはその親父のにおいのする机で勉強する。時には親父の漱石全集の中から青春時代のラブレターなどを発見するかもしれない…。

 一方の「妻アトリエ」にも妻の机や鏡台さらにはミシンなども置く。娘は「ははーん? 母はこんな日記を書いていたんだ!」ときっと親近感を覚える。気が付いたらミシンに興味を示し裁縫を始めるかもしれない。

 「ちょっとごめんよ。今日はゴルフだ」と、息子の部屋にゴルフバッグを取りに行ったり、「ちょっとミシン貸してね」と、娘の部屋で縫い物をする。その機会に子どもの状況を知ったり、悩みごとや相談を受けたりもする。

 こんな子ども部屋で、「オレの部屋に入るな」も「鍵を付けろ」もありえない。そして本当に彼らが育って出ていったら、本来の「書斎」や「アトリエ」として使い、さらに年を経て、それが子夫婦たちの住まいとなる…。
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あまの・あきら
 1943年愛知県生まれ。日大理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。最近著「六十歳から家を建てる」(新潮社)など著書多数。(2007.11.26紙面掲載)

(3)「家は夫婦が主人公」
(2)「夫・婦寝室」の間の「・」が肝心!
(1)“狭苦しい”家もルール次第で“狭楽しく”

投稿日: 2007年12月12日

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