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建築家、天野彰の語る家(5)みんなで使えるキッチン

■狭・楽しく生きる
建築家、天野彰の語る家 2LDKほどのマンションの住みにくさは狭いだけでなく、玄関を入るといきなりLDつまりリビング・ダイニングで、そこからキッチンが丸見えになってしまうことだ。その上、区切りのないLDKはキッチンの音や煙が充満して全体が“K”となってしまう。だからといって、キッチンを囲えば主婦が孤立するばかりか、ますます狭くなってLDどころか単なるテーブルを置いただけの“D”となってしまう…。

 そこで、現在のLDKの壁にあるキッチンを思い切って、LD側に移動し、いわゆる玄関に向けた対面式キッチンのようなものとする。これを玄関から見ると、まるで街のスナックのカウンターのようなものとなり、キッチンの内部は見えにくくなり、しかも今までキッチンセットがあった壁は天井までの大容量の収納壁となる。すなわちバーで言えばバックカウンターのボトル棚のようで見た目もよくなる。

 今まで台所の壁に張り付いていたキッチンをダイニングやリビングに向けた対面式キッチンは親子の対話によいと一時期爆発的に 流行(はや)ったものだが、そのための対面式はもう古いのだ。なぜなら対面すべき子どもは育ち、しかも今やキッチンは主婦だけが使うものではなく、皆で使えるキッチンでなければならないからだ。

建築家、天野彰の語る家 その点、玄関に張り出した対面式のようなキッチン、いや、「わが家のスナック」のようなカウンター式キッチンはいつ“客”が来ても対応でき、誰がカウンターに入ってもさまになり、多くの客を座らせることもできる。

 しかし、マンションなどでは縦方向の排水位置が限られ、そのためキッチンの移動は難しく、勝手に下の家の天井裏には配管できない。上水やガスとは違ってシンクなどの排水には水が自然に流れる傾き(排水傾斜)が必要で、排水の縦管位置によってはシンクの移動には注意が必要。同様に移動のできない換気扇やフードのためにレンジの位置も大幅に動かさず。図のようにシンクをその壁から沿ってカウンター側に持っていくことが得策のようだ。これでキッチンセットの中でシンクの排水 勾配(こうばい)が取れる。

 このカウンターを中心に家族や友人たちがそろって料理をしたり、だんらんすることができ、狭い家が街のスナックに負けない社交場になるから不思議だ。
(一級建築士事務所アトリエ4A代表、イラストも)

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あまの・あきら
 1943年愛知県生まれ。日大理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。最近著「六十歳から家を建てる」(新潮社)など著書多数。(2007.12.03紙面掲載)

(4)子供に部屋を貸す
(3)家は夫婦が主人公
(2)「夫・婦寝室」の間の「・」が肝心!
(1)“狭苦しい”家もルール次第で“狭楽しく”

投稿日: 2007年12月18日

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