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建築家、天野彰の語る家(6)「ジャンボテーブル」に家族が集う
■狭・楽しく生きる
いま家族に大きな異変が起こっているように思える。などと言うと、何か老いぼれのたわ言のように聞こえそうなのだが…、親子が、いや夫婦がなぜかぎこちない。親が子に規範を見せていないと言うか、子がそれを見て育っていないと思う。
私自身、長男夫婦に子ども(世間では孫と言う)が2人居て、さらにまだ年が離れた末娘も居るので、まさに自身が子育ての最中でありながら、さらには息子家族の子育てを客観的に見られ、そのことが如実に思えて仕方がない。
その実感の1つが家族の時間だ。今思えば忙しかったため、家族と一緒に居た時間があまりにも短かったと思う。またその期間はほんの一瞬だったような気もする。特に彼らを子ども部屋に押し込んでからは、彼らと会う時間が急激に少なくなったことを覚えている。そこで慌ててやったことがダイニングキッチンのリフォームだ。
つまりそれまでキッチンは閉ざされていて、ダイニングにはただ食事をするだけのテーブルがあり、たまに一緒に食事をしても食べ終わると皆すぐに部屋に行ってしまう。
そこでキッチンとダイニングの間にあった仕切りのハッチを取り去り、大きなテーブルにした。いわゆるオープンなキッチンとそこからつながって延びるテーブルキッチンにした。そのテーブルにはシンクやステーキ用の鉄板、さらには鍋用のレンジも組み込んだ。
私はこれをジャンボテーブルと名付け、ステーキパーティーや鍋料理をやった。このときばかりは子どもたちは何があっても集まって、いつまでもだんらんの時間が続いた。そればかりか彼らはそのテーブルで宿題をやったり、書き物をしたりするようになった。おかげで子どもたちから突然相談を受けたり、意外な話を聞かされることもあり、今は、それができたことが親としてよかったと思っている。
こうして「開かれたキッチン」は、家族皆のキッチンとなり、家族ばかりかオープンな社交場として、各自が食材を持って自然に集まり、連日だんらんやおけいこや教室としてにぎわうことになった。
来週は長く住める”増殖型住宅”について。
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あまの・あきら
1943年愛知県生まれ。日大理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ4A代表。最近著「六十歳から家を建てる」(新潮社)など著書多数。(2007.12.10紙面掲載)
(5)みんなで使えるキッチン
(4)子供に部屋を貸す
(3)家は夫婦が主人公
(2)「夫・婦寝室」の間の「・」が肝心!
(1)“狭苦しい”家もルール次第で“狭楽しく”
