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KEIRINグランプリ07特集「小嶋敬二が王者の走りを魅せつける!」
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今年最後の大一番、「KEIRINグランプリ07」が、立川競輪場で30日に行われる。競輪界最高の名誉と、優勝賞金1億円(副賞含む)の一発勝負に挑むのは、競輪界を代表する9選手! 最高の”力”と”運”を併せ持つ者だけが手にできる”王者”の称号は、そう呼ぶにふさわしい者にのみ与えられる。
小嶋敬二。この男こそ”王者”と呼ぶに、ふさわしい。
天国と地獄―。今年の小嶋敬二を語るには、この言葉しか思い浮かばない。
「獲るべくして獲れた」と言う6月の高松宮記念杯に続き、寬仁親王牌では「ラッキーとしか言いようがない展開」で優勝。自身初のGⅠ連覇を成し遂げる。勝利に必要不可欠な”力”と”運”。その両方が小嶋に向いていた。目標に掲げていた年間70勝も射程圏内だった。
その矢先。レース直後に他の選手に突っ込まれて落車。左肩甲骨と第4、5肋骨(ろっこつ)を骨折。全治2カ月の重傷を負う。「骨折も、生まれて初めてです。とにかく早く治して走らなきゃ、という事しか考えなかった」という小嶋は、病室に自転車を持ち込み、入院4日目には左上半身を固定したままトレーニングを再開する。
すぐさま担当医が飛んできた。「汗をかくと、骨がつくのに必要なカルシウムが汗と一緒に出てしまうから今すぐ止めて下さい、と言われて。自転車に乗れないと分かった時には、落ち込みましたよ」
毎週金曜日のレントゲン検査が、その気持ちに拍車をかける。「もうくっついてるかな、と期待して行くと、まだですね、と言われる。その繰り返しですから」
とどめが、オールスター欠場だった。「ファン投票1位に選んでもらったのに、走ることができなかった。ファンの思いを裏切ってしまった、と心底落ち込みました」
そんなことが積み重なったせいか、「何で走れないんだろう、という焦りのような気持ち」ばかりになってしまった小嶋は、選手を辞めることも考えたという。
「普通、練習が出来るようになったら、ほとんどの選手がレースに戻るんですが、そんな状態で競走に出ても、僕らしい”魅せるレース”はできない。復帰するには、最低1カ月間は練習したい。でも、そのためには更に欠場しなければならない。それだけ、ファンの前に姿を見せられない訳で・・・。それに治っても、自分のベストパフォーマンスができるかどうか分かりません。ベストパフォーマンスを見せられなければ、僕にとっては走る意味がない・・・」
そんな迷いを断ち切ってくれたのが、ファンからのメッセージだった。「時間がかかってもいいから復帰して下さい、待っているから、と。本当にありがたかった」
約7週間の入院を経て、10月2日に退院。
「12月30日のグランプリから逆算して決めた」11月18日の川崎FⅠでバンクに復帰を果たす。さらに復帰2戦目の全日本選抜(GⅠ)では、「仲間たちから『本当は骨折してないだろ』『GPに向けて休んでただけだろ』と、からかわれた(笑)」ほどの走りで、優勝戦へコマを進めた。
GPに焦点を合わせて復帰した小嶋にとって、このレースは大事なシミュレーションになったという。「練習を再開して2カ月で(佐藤)友和君をまくれた。ベストの状態だったら逃げ切れてたのに、山崎君に抜かれた。まだまだベストパフォーマンスには程遠いし、走るたびにもどかしさもあるが、あれでGPまでの課題が絞れた訳です。しかも、全日本選抜終了後からだと3週間も練習できるんですから」と、今の小嶋からは前向きな言葉しか出てこない。
「担当医に言われたんです、骨はこれ以上折れませんからって(笑)。これ以上、悪くなることはない、あとは良くなるだけだと言われて、それまでの焦りが払拭された感じがしましたね」。専属トレーナーからも「骨折でよかった」と言われたそうだ。「折れてるのは、ひっつくんだからって。2年前の肺炎の方が、身体を元に戻すのが大変だったと言われました」と苦笑する。
「骨折したのも8月で良かった。これが11月だったら、恨むに恨めませんからね。おまけに、皆が真夏の炎天下でレースしてる最中、自分は冷房の効いた病室にいた訳でしょ。俺って天才!? って思いましたよ(笑)」
天国と地獄では同じことが起こる、と聞いたことがある。起こった事柄を全て成長の糧にしていくのか、「なぜ自分だけが」と恨みに思うだけなのか、その違いだけだと。
「正直、骨折した当初は、色んなことを恨みました。でも今は、色んな経験ができたと思ってます。そういう意味では骨折も含めて、心からいい1年だったと思っています。これだけの経験ができて、おまけにGPまで獲れたら、本当に最高の1年になりますよ(笑)。
今年のGPは、心配をかけたファンの皆さん、お世話になった人、応援してくれた人、それに落車骨折したことのある選手のために走ります。そして、勝ちます!!」 (川村 淳)




