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長寿食で雑煮のレギュラー「サトイモ」
赤ちゃんが生まれて一番最初に口にする幼児語は「うま、うま」だそうである。「うまい、うまい」とか空腹を訴える言葉のようであるが、実は「うも、うも」からきたという説があるのだ。
ウモは古代語のイモでサトイモのことだが『万葉集』に次のような歌がある。
蓮葉は かくこそあるもの 意吉麻呂(おきまろ)が 家なるものは 芋(うも)の葉にあらし
「蓮の葉というものは、このように美しいものなのです。意吉麻呂の家にも植えてあるようですが、あれは芋の葉でしょうね」というほどの意味。実にユーモラスな歌で、確かにサトイモの葉は蓮の葉にそっくり。
原産地は東南アジアの熱帯雨林帯であるが、日本に渡来したのは5000年ほど前の縄文中期とみられている。インドネシアなどではウビといい、日本に上陸して「ウモ」になったらしい。
現在のイモ(サトイモ)であるのはいうまでもないが、縄文人はたぶん『万葉集』にあるようにウモと呼んでいた。稲作が入ってくるまでは、重要なカロリー源だったはずで、ねっとりとした味はたいへんなご馳走だったのではないか。
古くから神に供えられ、お正月の雑煮にも用いられてきたのは、それだけ重要な食物だった証拠。サトイモは長寿食でもある。体細胞の若さを保つねばねばのムチンやビタミンB類、高血圧を防ぐカリウムなどがたっぷりなのだ。(食文化史研究家・永山久夫)

