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創刊40周年の夕刊フジベスト30

 夕刊フジは来年2月25日、創刊40周年を迎える。この間、常に読者と喜怒哀楽をともにしてきたという自負がある。紙面の歴史、変遷は、時代の一断面だったと言い切っても、お許し願えるだろうか。ここに挙げたランキングは、1969年の創刊から2000年までの、夕刊フジの売り上げベスト30だ。即売紙である本紙の当日部数は、そのまま世間の興味の反映でもある。当時の紙面とともに、往時を振り返っていただきたい。

 夕刊フジが一番売れた日。それは、95年5月16日のオウム真理教、麻原彰晃教祖(本名・松本智津夫)の逮捕だった。

 地下鉄サリンをはじめとする多くの事件で多くの被害者を出した未曾有のカルト事件。山梨県上九一色村の第6サティアンで逮捕された麻原教祖は警視庁に護送され、「目の見えない私がそんなことできるでしょうか。信じてもらえないでしょうけど」と逮捕容疑を否定した。もともと多弁な人だった。長い裁判を無言で通した今の被告の姿からは、隔世の感がある。

 7、16、24、28位にもオウム関連がランクイン。16位の横浜硫酸事件は後に無関係と分かったが、こうした発生事件はすべてオウムの関与がまず疑われた。そんな時代だった。

 2位は、75年4月14日の都知事選開票、美濃部亮吉氏3選。当時は翌日開票で、夕刊フジが世間への第一報となった。激しく追い上げ、惜敗した石原慎太郎氏は「新しく生まれつつある力は、明日来ると確信しています。我々は挑戦の日をいつか再び得ることになるでしょう」と語った。あれから33年、3選を果たした石原氏が都知事の座にある。

 都知事選開票では、美濃部氏が元警視総監の秦野章氏を破った71年4月12日が8位。鈴木俊一氏が太田薫氏を破り、革新都政にストップをかけた79年4月9日が22位。

 3位も選挙。76年12月6日の衆院選開票速報で、やはり東京、大阪など6都道府県35選挙区が翌日開票だった。同年7月に田中角栄元首相が受託収賄罪で逮捕されたロッキード事件の余波を受けた自民党が大敗し、「三木内閣の責任とは考えていない」と強弁した三木武夫首相は退陣に追い込まれた。後継は福田赳夫氏。その息子の福田康夫氏がいまや現役首相で、ニュースはすべて現在につながっている。76年7月27日、「田中元首相逮捕」は12位だった。

 30傑中、国政選挙速報は9回。すべて即日開票となった現在でも夕刊フジの選挙報道は需要が高く、昨年1年間でも7月30日の「参院選自民大敗」が2位。ちなみに昨年の1位は9月12日「安倍首相突然辞任」。3位は5月28日「松岡農水相自殺」だった。

 歴代4位は89年1月7日、「天皇陛下 崩御」「皇太子殿下 即位」。『新年号は「平成」「昭和」に幕』。当日は土曜日で、本紙が最大の顧客とする通勤のサラリーマンは少なかったはずだが、それでも通年の上位にランクインしたのは、それだけショックが大きかったからといえるだろう。

 6位は80年11月4日の王貞治選手引退。「ついに現役断念」「40歳、体力の限界感じ」。長嶋監督解任に続く「王引退」を惜しむ記事の最後を、当時本紙運動部の近藤唯之氏は「突然の現役引退は日本中のプロ野球ファンの胸をふるわせるだろう。長嶋が去ったあと、いままた王が去るのを、私は大きな悲しみでこの原稿を書いている」と締めくくった。

 プロ野球関連では21位に80年11月26日のドラフト速報。巨人は藤田元司監督がくじで現監督の原辰徳の交渉権を得て「ラッキーというか、ついてたというか、最高の気分です」。1位指名には広島・川口和久、中日・中尾孝義、西部・石毛宏典、ロッテ・愛甲猛らの名もあり、ドラフト豊作の年でもあった。

 後に「空白の一日」と呼ばれる「巨人、電撃の江川獲り」(78年11月21日)は25位。突然のニュースに版替えした紙面では、「編集長から」のコラムに「『スポーツが愛されるのは、それがフェアに行われるからだ』とは英国のさる哲人の言葉ですが、プロ野球でもその鉄則は同じ。名門である巨人が、たとえ江川君の希望があったにせよ、こうした“横紙破り”をあえてしたことに失望したファンは多いはずです」とある。

 11位は91年1月18日の「湾岸戦争戦火拡大」。前日の開戦を上回る部数が売れたのは、バグダッド炎上の中継画像を見て、改めて戦争を実感した人が多かったためだろう。パパ・ブッシュによる開戦は息子で繰り返され、ブッシュ家の政権は今、終わりを告げようとしている。

 19位に95年1月18日の阪神大震災。これも2日目だが、惨状が明らかになるにつれ、衝撃もいや増した。現地ルポの記者は「こんな悲惨な火災現場はこれまでみたことがない。あえて言うなら、写真で知っている50年前の神戸大空襲の風景だ」と書いた。

 27、29位はダービー確定。76年はトウショウボーイ、テンポイント、クライムカイザー。75年はカブラヤオー、エリモジョージなどの名馬が歓心を買った。

 70年代の新聞は1行が15字。次第に活字が大きくなり、現在の夕刊フジは1行11字。いま読み返すと当時の新聞は字が小さく読みづらいと感じる半面、情報が詰まっている印象が強い。時代の要請は刻々と変わるなか、変わらぬものは夕刊フジが人を描く新聞であり、サラリーマンの味方である―という思い。40周年に向け、今後ともよろしくお願いします。
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夕刊フジ発行部数ベスト30(1969年2月25日~2000年12月31日)

1位
オウム麻原彰晃逮捕 95.5.16

2位
東京都知事選(美濃部vs石原)75.4.14

3位
衆院選(三木退陣、福田首相) 76.12.6

4位
昭和天皇崩御 89.1.7

5位
衆院選(自民圧勝) 90.2.19

6位
巨人・王選手引退 80.11.4

7位
オウム村井秀夫幹部殺害 95.4.24

8位
東京都知事選(美濃部vs秦野) 71.4.12

9位
衆参同日選挙(大平首相急死後) 80.6.23

10位
衆院選 79.10.9

11位
湾岸戦争・戦火拡大 91.1.18

12位
田中角栄前首相逮捕 76.7.27

13位
衆院選 77.7.11

14位
衆院選(リクルート事件) 89.7.24

15位
ロッキード事件丸紅大久保逮捕 76.6.22

16位
オウム関連?横浜硫酸事件 95.4.19

17位
東京都議選 73.7.9

18位
参院選 74.7.8

19位
阪神大震災 95.1.18

20位
湾岸戦争、米深夜の空襲 91.1.17

21位
プロ野球ドラフト(原、石毛) 80.11.26

22位
東京都知事選(鈴木vs太田) 79.4.9

23位
衆参同日選 86.7.7

24位
オウム井上逮捕 95.5.15

25位
江川・空白の一日で巨人と契約 78.11.21

26位
大平首相が急死 80.6.12

27位
ダービー枠順発表 76.5.28

28位
オウム強制捜査着手 95.3.22

29位
ダービー枠順発表 75.5.23

30位
衆院選、自民惨敗 83.12.19
(日付は発行日)

投稿日: 2008年02月11日

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