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ブログ炎上は「こう消せ!」
ブログやSNSに不用意に書き込んだ記事に、批判のコメントが殺到する「炎上」。毎日のように事件が起きているにもかかわらず、“火種”を投じる人たちは後を絶たない。そこで、典型的な「炎上パターン」と、その「火消し法」について考えてみた。「自分はブログなんて持っていないから…」と無視することなかれ。部下が書いた記事が炎上し、上司のあなたにも火の粉がふりかかるかもしれませんよ。
■ネット炎上は火事と同じ
総務省によると2006年3月末時点で、ブログは868万人、SNSは716万人の利用者がいるという(重複含む)。利用者数は増える一方で、それとともに炎上も増えている。
ブログやSNSは、記事を読んだ人がトラックバックやコメントを付けられるのが最大の特徴。そのコメントが批判であふれてしまうのが炎上だ。
ネットの炎上にも実際の火事と同様に段階があり、最初は「小火(ぼや)」(すぐに鎮火し、元の状態に戻る)、次が「半焼」(批判が高まり、運営者がコメントなどの受付を止める)、最後に「全焼」(ブログ閉鎖)と進む。
また、炎上が他のサイトに飛び火したり、運営者の実名や住所などがさらされて現実生活にまで影響を与えることもある。今回、事例で挙げたように、アルバイト従業員がふざけて載せた記事がもとで企業が謝罪するといった大問題に発展することもある。炎上はいまや、ネットの中や運営者だけの問題ではなくなっているのだ。
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■ブログ・SNS炎上4つのパターンと最近の事例
【パターン1:モラルに反する行為で炎上】
2007年7月25日、音楽ユニット「AAA」の女性メンバーが米ボルティモア州の自然岩に黒スプレーで「JPN AAA 2007」と落書きしたことを写真付きでブログに掲載。落書き行為をなじるコメントが殺到した。同ユニットのファンが擁護コメントを書き込んだことが、さらに火に油を注ぐこととなった。同年9月には国立大学のサークルメンバーが鳥取砂丘の国定公園に落書きする事件が起こり、彼らの行為もネット上で指弾された。
【パターン2:事実誤認や賛否両論ある話題での炎上】
香川県坂出市で姉妹と祖母が行方不明になった事件について、若手女優が07年11月19日、自身のブログに親族を犯人視する私見を掲載。批判が殺到した。女優はその後、ブログ内で謝罪したが批判は収まらず、1年間の芸能活動休止に追い込まれた。
【パターン3:権威や傲慢さをかさにきた発言で炎上】
現役の東大女子学生が07年11月11日、インドのアパレル企業での研修エピソードを書き込んだブログで現地の子供に差別発言。コメント欄が大炎上し、すぐにブログを閉鎖したが謝罪は一切なく、電話番号や父親の勤務先までもがさらされる事態となった。
【パターン4:いたずら心から炎上、企業に波及】
吉野家のアルバイト従業員が「テラ豚丼」と称した丼を作る悪ふざけの動画をSNS内に掲載。その後、ケンタッキーやバーミヤンの元アルバイト従業員も自身のサイトに「ゴキブリを揚げた」などとする事実無根の書き込みを行い、批判が殺到した。いずれも、企業が謝罪するという事態にまで発展した。
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■ウソ・ごまかしは通じない
「炎上を未然に防ぐには、ネットというメディアの特性をきちんと認識することが大事です」と語るのは、『ブログ炎上~Web2・0時代のリスクとチャンス』(アスキー刊)の著書がある「炎上アナリスト」の伊地知晋一氏(39)。元ライブドア執行役員上級副社長で、さまざまなネットサービスを立ち上げた一方、ライブドア事件の際は自らのブログも炎上した経験を持つ。
伊地知氏は「テレビや新聞などの既存メディアと違い、ネットでは権威や信頼性は考慮されない。掲載したサイトがメジャーかマイナーかの規模も関係ない。書き込まれた内容だけが評価の対象となる」という。
「ネットに掲載された言葉は、どんな少数意見であっても日本中から吸い上げられ、その内容を多くのユーザーが判定する。ウソやごまかしは通用しない世界なのです」
これが伊地知氏のいうネットにおける「集合知」。膨大なネット人口を背景にした「集合知」はひとつの書き込みをあらゆる角度から検証する。ゆえに、わずかなほころびも見逃さない。
そのうえで伊地知氏は、炎上被害に遭いやすい人の特徴として
(1)偏見や先入観が強い
(2)傲慢
(3)公平性がない
―という3点を指摘する。
「たとえばズバリとした物言いが受けるテレビ司会者の言うことをうのみにしてしまうような人も要注意ですね」
定型的な炎上の4つのパターンを紙面中央に掲載しているので参考にしてもらいたい。
■もしも炎上してしまったら…
ブログやSNSは「自分の日記」ではあるが、「公開される日記」でもあることを十分自覚し、注意深く書くべきだ。それでもなんらかの原因で炎上した場合は、被害の拡大を防がねばならない。炎上した際の「 掟(おきて)」を伊地知氏に列挙してもらった。
【掟(1)】ブログを閉じるな!
「臭いものにはフタ」の発想であわててブログを閉鎖した結果、問題が現実世界にまで波及することもある。たとえ自分のブログを閉鎖しても、ネット上にはキャッシュやコピーという形で痕跡が残る。ブログの中で起きた問題は、なるべくブログ内で解決するように心がけるべきだ。
【掟(2)】間違いだと気づいたら素直に謝罪せよ!
炎上の原因が事実誤認や自分の独断によるものだと気づいたら、素直に謝る。その後、事実を淡々と報告する。ウソや言い訳は格好の“燃料投下”となる。ネット社会の集合知を甘く見てはいけない。生半可なウソはすぐに見破られてしまう。
【掟(3)】次のアクションはタイミングを誤るな!
(1)(2)の掟をしっかり守ったうえで、「火」の勢いや流れを見守ろう。ブログを閉鎖するなり、更新を再開する「次」のタイミングは、批判的なコメントが丸1日来なくなったとき。「基本的に、どんな大規模な炎上でも、この手順をしっかりやれば収まる」と伊地知氏は言う。
【掟・裏技】ブログの機能を利用して「火の手」を振り切れ!
小さな炎上であれば、安易に謝らないで鎮火することも可能だ。更新の頻度を上げて別の記事を載せていけば、問題の記事は画面の下もしくは別ページに追いやられ、批判コメントも他のコメントに埋もれてしまう。最新の記事が上位に表示されるというブログの機能を利用するのだ。「一度鎮火すると後は引かない、というのも炎上のひとつのパターンです」(伊地知氏)
最後に伊地知氏はブロガーの部下を持つ上司に向け、「ここにあげたパターンに部下がハマらないように注意指導することが必要。会社情報などをブログに書かない、という当たり前の決まりを徹底させるべきです」とアドバイスしてくれた。
■“鎮火”の理想例
伊地知氏がブログ炎上の理想的な鎮火例として挙げたのが民主党・長島昭久衆院議員(45)の対処法。長島氏は2006年2月、民主党の永田寿康元衆院議員が引き起こした「堀江メール問題」について、自身のブログに「この勝負絶対勝てる」と書いたことから炎上した。
永田メールはガセネタということになり、長島氏は結果的に「パターン2」の炎上を招いたわけだが、ブログ上での誠実な対応と謝罪により、ほどなくして炎上は収束した。どんな対応を取ったのか長島議員に聞いた。
「まず、何千ときた書き込みすべてに目を通しました。時間にして1週間。かなりのエネルギーと時間を費やしました。コメントの中には単なる愉快犯のようなものもありましたが、ひとつひとつ丹念に読んでいくと、『こんなことで国会の場を使っていいのか』といった的を射たまじめな批判もあった。そこで、批判を削除したり一方的に記事を垂れ流すのではなく、コメントを抜粋し、それぞれの批判に対して私の思いや考えを個別に答えていきました」
「コメントにまっすぐ向き合ったことがよかったのだと思います。無視は一番ダメ。大変だったけれど、政治家として大切な言葉を鍛えられた。印象的だったのは『ブログは公開しているものだから、単なる日記ではない』という指摘。ブログを始めたときはホームページの延長であり、日記の代わりぐらいにしか思っていなかったのですが、ブログは双方向なんです。書きっぱなし、言いっぱなしは通用しない。多種多様な意見に、まっすぐ向かい合わないといけない。それがイヤなら、煩わしいだけで時間の無駄だからやめたほうがいいですね」
イラスト・まるはま




