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葉のタネ明かし「みみざわりのよい」
「○○候補者は耳ざわりのよいことばかり言っている」といった発言を聞くことがある。この「耳ざわりがよい」を、「何とも耳ざわりだ」と言って嫌う人もずいぶん多い。はたして使ってはならない表現なのか。
「みみざわり」の漢字表記はもともと「耳障り」しかなく、「妨げ、差し支え」の意の「障り」があることからも分かるように、「耳障り」は聞いて不快に思うような時に用いる言葉である。
本来はあり得ない「耳ざわりのよい」が一般に使われだしたのは、「手触り、肌触り」などの「触り」と混同したためではないかと思われる。
こちらの「触り」は実際に触れることだから、「手触りがよい」場合も「手触りが悪い」場合もある。しかし耳に入ってくる音や声は、直接耳に触れるものではないから、「耳触り」と表記されることはなく、もっぱら悪い意味だけの「耳障り」しかなかった。「目ざわり」も同様に「目障り」だけである。
しかし最近では、心地よい言葉や音楽は耳にやさしく触れるように感じられるせいか、「耳触り」の表記が出回り始めた。この書き方を載せる辞書も出ているという。
こうなると「耳ざわりのよい」は絶対にだめだとは言いにくくなるが、できれば「聞いて心地よい」「聞こえがよい」などに言い換える方が適切かと思われる。 (産経新聞大阪編集局校閲部長 清湖口敏)
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