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大下英治・著「首相官邸の女」-スパイと化した女の果ては…

首相官邸の女 宮沢喜一内閣不信任案が可決され、衆議院が解散した1993(平成5)年、娯楽性に富む政治小説が刊行された。

 主人公は国会議員秘書の河原(かわはら)真知子。証券会社のOLだったが、社命で政界の大物に贈賄の隠れみのになる名画を届ける仕事をこなした手腕を買われ、有力議員秘書になる。

 彼女がそこで見たものは政界のすさまじいまでの権力闘争であった。有力議員は次期総裁候補の片腕的存在。親分を総裁にする早道は現首相のスキャンダルを暴くことだが、スキャンダルはでっち上げればよいという思考だから驚く。

 現首相は米大統領との親密な仲を誇る。ならば大統領に恥をかかせるようなスキャンダルを捏造すればよいと、成田闘争対策に米国から派遣された保安要員が反対派を殺傷する許可を得ているとの発言を録音テープにとり、脅しにかかる。内閣は揺れるが、現首相派もスキャンダル暴露作戦をとり、勝負は相打ちに。

 この闘争で主人公はスパイ役に。敵陣営の男性秘書と個人的に親しいことから、偽情報を敵に流す役を負わされ、報酬に高級マンションを与えられる。

 主人公には恋人が有力議員派の犠牲になって、死んだ過去があり、主人公の最終目的は有力議員一派を破滅させることだった。

 小心な同僚男性秘書を軽視し、政治家の器量の大きさに傾く女心も描きこまれている。最後に主人公は官房長官になった有力議員の政務秘書官補佐として官邸入りし、“首相官邸の女”と自称する。

投稿日: 2008年03月09日

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