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「鄧小平秘録(上)」伊藤正著(産経新聞社・1785円)
驚異的な経済成長を成し遂げ、世界経済に影響を与える一大マーケットにして、世界の工場であり、食糧供給地である中国。国内は驚くほど富裕層と貧困層の格差を生み、光輝く躍進の陰で暴動が多発する。中国のこの光と影を生んだのは、たった1人の男だった。
それが、鄧小平。日中戦争、内戦の戦火を生き抜き、毛沢東時代に2度失脚しながら奇跡的に復活。極めつきは、天安門事件で民衆に銃口を向け民主化に歯止めをかけ、一転して改革・開放路線を進め空前の経済成長に導いた。
現代中国をつくった「鄧小平の時代」に、本格的なメスを入れる本書は、彼の「人生最大の危機」である「天安門事件」(第一部)から書き起こされる。この事件の陰で中国共産党内部で何が起きていたのか。膨大な資料を駆使し、徹底的な取材によって、明らかにされていく。そして、改革・開放路線に道を開いた「南巡講話」(第二部)へと進み、一転、毛時代の「文化大革命」(第三部)まで収録された。
著者は産経新聞中国総局長兼論説委員。元共同通信記者として長く中国報道に携わり、天安門事件を現場で体験した最適任者だ。巻末に中国人論客・石平氏の「鄧小平論」を収録、中国の今後の展望にも触れており、中国に関心のある人には必読の書となっている。
■「鄧小平秘録(上)」

