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武将たちも通った、切り傷を癒す温泉

 日本には“戦国武将ゆかりの湯”といった温泉が数多くある。武将たちは、ふだんは農民だった人たちをいざというときに兵士として活用していた。しかし、農民が傷ついてしまっては、生産性に大きな影響が出る。国力は、いかに「兵士でもある農民の傷を早く治すか」にかかっていたという。武田信玄や上杉謙信が強大であったということは、裏返せば、それだけ領地に効能ある温泉を抱えていた証しでもあったらしい。

 切り傷に良い泉質は、広く適応されるものの、温泉コンサルタントの中澤克之氏はあえて「単純泉」かつ「江戸時代以前からの言い伝えが残る温泉」を挙げる。

 「もともと、入浴という習慣がなかった日本で、温かい水につかることで切り傷や筋肉疲労が癒えた、ということから温泉療養が始まりました。単純泉では、鎮痛作用や血流をよくすることで、傷の治りを早める効果があるといわれています」

 単純泉の特徴は、とくにない。自然に「井戸水が温まっているといったところだろうが、そこが温泉の不思議。井戸水を温めるよりも効果があるのです」。

 お勧めは「信玄の隠し湯」と名高い山梨県の下部温泉。川中島の合戦で負傷した信玄が傷を癒したことで知られ、戦いで傷ついた兵の治療に当てたといわれている。ぬる湯のため、外傷にもしみるような痛みはなく、大相撲の力士や、野球の選手なども、ケガの治療やリハビリに訪れるようだ。JR身延線の下部温泉駅を降りると素朴な温泉街がある。

 長野県・渋温泉も「信玄ゆかりの湯」だという。38カ所の源泉から、毎分3100リットル以上の湯が36軒の施設に供給。すべての旅館に、温泉入浴指導員がいるのも特徴だ。

 一方、「謙信ゆかりの湯」が妙高山の斜面に広がる新潟県の燕温泉。

 滋賀県の須賀谷温泉は、信長の妹のお市と浅井長政の居城近く。武将たちが戦いの疲れや傷を癒すため、湯治に通ったと伝えられている。戦国の世に思いをはせるのもいいかもしれない。

投稿日: 2008年03月09日

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