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林望さんと読書―おう外の端正な文体がお手本
最近の小説は読んでいませんが、海音寺潮五郎著『二本(ふたもと)の銀杏(ぎんなん)』は、恋愛小説っぽい時代小説のところがいいですね。鹿児島にある海音寺記念館で講演に招かれた際、読んだのですが面白かったです。
本を読み始めたのは遅かったですね。中学時代は全然読まず、高校生になって、かくてはならじと読み始めました。
翻訳文体が嫌いだったので、おう外の『渋江抽斎』や漱石、志賀直哉、永井荷風などの端正な文体のものばかり読んでいました。美しい日本語で書かれた文章が好きで、藤沢周平や山本周五郎の小説はいいですね。
私の本に『薩摩スチューデント、西へ』『ついこの間あった昔』などがありますが、おう外の文体がお手本です。
また、萩原朔太郎、堀口大学などの詩も好きで、『田中冬二全集』は愛読しています。
私の専門は1冊の本が背負った歴史、背景、物語を調べる学問ですが、仕事で読む本は面白いものではなく、索漠たるものがあります。だから、自由に読める本は仕事で心がすさんだときの一服の清涼剤、慰められます。(作家、書誌学者)




