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「フリー」いっぱいあるゾ
一両年来の「景気は好転」という政府筋の放言に勤労者としてまゆにツバしていたら、案の定、株価は暴落。やっぱり実感は「不景気」だ。となると生活防衛上、倹約吝嗇なんとでも言え、「無料」「フリー」「タダ」の言葉に惹かれるのも仕方ない。見渡すと、けっこうタダだったり、常識ハズレの安値は存在している。
「先日、外資系の某ホテルチェーンが運営するリゾートコンドミニアムの説明会に行きました。系列ホテルで夫婦で約1時間、話を聞くだけで、同ホテル内のレストランで使える1万5000円分の商品券をもらったので、家族で高級鉄板焼きを食べました」
そう話す40代の夫婦は、過去にも別のホテルのハワイのコンドミニアムの現地説明会にも参加したことがあるという。現地までの交通費は自腹だが、高級ホテルと遜色ないスイートルームが3泊で約400ドル、4日間のレンタカーもタダで付いてきたという。
「現地でこそ約3時間みっちり説明―まあセールスですね―を受けましたが、その後、営業電話がかかってきたりもせず、ナシのつぶてです」というから気前のいい話だ。
世に「無料」は多い。グーグルなどネット関係は利用者にとっては無料が常識だし、考えてみれば、そもそも民放テレビはタダだ。リクルートを代表とするフリーマガジンやフリーペーパーも花盛り。これらは広告主が負担するビジネスモデルで、最近の大学キャンパスで、コピー代やルーズリーフなどもタダだという。
記者の女房と子供が先日、近所のショッピングモールを訪れると、座面に電気を流すイスをいくつも並べてあって、1日20分座るだけを毎日続けると、肩こりや頭痛が治るという機械の「無料体験会」なるものを実施していたという。
「何かの販促だろ」と聞くと、「別に何も売り付けられなかったわよ。パンフも配ってなかったし」とのこと。おまけに、ポイントカードのようなものももらって、「また来てくださいね。2月中にあと××人来場してくれたら、3月まで延長しますよ」と言われたとか。
ははあ、これはアレだな。ショッピングモールが客寄せのために雇う大道芸人やミュージシャンの変形に違いない。たしかに、来客者を楽しませる点では、演芸も健康も違いはない。なかなか面白いビジネスモデルだ。
そう思って、呼び込みチラシにある運営会社へ電話したところ…。
「いいえ、違います。モールにはちゃんと家賃を払っていますし、その意味では純然たる販促活動です。ただし、こんな素晴らしい機械があるんですよということは精いっぱいアピールしますが、売り込みはしませんし、パンフレットも『ください』という人だけにしか、お渡ししません。あそこは押し売りするよなんて評判が立てば困りますからね。細く長くやっていきたいだけです」と代表者の弁。
機械は1台50万~60万円するという。
「そんなに高くて、売り込みもせず、商売成り立つんですか」と余計なお世話だが聞いてみた。
「まあ、2カ月ほど体験会に通っていただくと、気に入って、機械を自宅に欲しくて欲しくてすまなくなる人はいらっしゃるんです」
これはシステム調達でよく耳にする「1円入札」の応用ビジネスモデルか。さて、世の中って、やっぱり景気いいの?


