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女優・有森也実(9)私をふちどる「しつけ」
■女優・有森也実のしっぽの話
愛猫と気ままな1人暮らしをはじめて5年。
好きな時間に寝起きして、食べたい物を食べたい時に食べたいだけ食べ、バレエのレッスンに行ったり、寝ころんで台本を読んだり。腹立たしいニュースにはテレビに向かって1人で「ピ~ピ~」暴言を吐く。
親が見たら泣いちゃうワ、と思いながらも、誰に注意されるでもなく人目を気にすることもないだらしないOFFの日の私。夫や子供がいたらありえないかも。
そういえば、母はいつもキレイにお化粧をしていたな。朝起きると4人分の朝食がテーブルに並び、父が箸を上げるまで手はひざの上、子供のしつけをするのと一緒に親も「しつけ」をしなおしていたんだろうな。
「先生はみなさんにしつけをします。家庭科の時間にエプロンを作りました。ミシンをかける前に布がずれないように仕付けをかけましたネ。美しく仕上げるためには人にも仕付けが必要です。初めは面倒でも慣れてしまえば当たり前に感じられるようになります」
人としての基本を教え、自覚を促してくれたのは小学校3、4年の担任の大場先生でした。
先生の手にしつけ糸の通った大きな針が、にぎられていると想像すると面白くて、礼儀作法、言葉遣い、立ち居振る舞い、生活に必要な習慣のあれこれを楽しんで学びました。
大場先生と両親にかけられた「しつけ」は、思いのほか頑丈で、今ものん気な四十女をふちどり、時々パンパンとお尻をたたいて人並みな形をたもっています。
だらしない日々に歯止めがかかるのも、自業自得の失態からなんとか立ち直れるのも、人見知りの私でも人の温かさを感じられるのも、私をふちどる「しつけ」のおかげだと思えるのです。
モラルや倫理って、社会に縛りつけられるようでイヤ。でも人と人とがかかわる中で、自分の在るべき場所、よりどころのようなものと考えてみると、ちょっとホッとしませんか? それにしても、のんきな解釈ですが。
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ありもり・なりみ
横浜市出身。雑誌モデルを経て女優へ。映画「キネマの天地」、ドラマ「東京ラブストーリー」など多くの出演作がある。森光子の名舞台『放浪記』にも出演中(3月30日まで東京・シアタークリエほか地方公演あり)。
■女優・有森也実のしっぽの話
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