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宋文洲の会社員哲学(1)「給料の男」と「専業主婦」
中国出身で、「やっぱり変だよ日本の営業」などわが国サラリーマン社会に対して歯に衣着せず問いを発し続けるソフトブレーン創業者の宋文洲氏が、今週から連載を始める。第1回はワイド版でお送りする。
来日してサラリーマンという言葉を初めて聞いた時、意味が分かりませんでした。英語には聞こえましたから、「給料の男」とは、何かのドラマのタイトルだと思っていました。
日本の奥さんたちは、他人に自分の旦那さんを紹介する際によく「普通のサラリーマンです」と言います。これを聞いて私は「普通ではないサラリーマン」のイメージを想像したりしていました。
しかし、日本の小学生たちに「将来何になるの」と聞くと、「サラリーマンになりたい」という答えはありません。子供たちは稼ぐ方法ではなく、「ケーキ屋さん」「看護師さん」「弁護士」など、やりたいことをイメージして答えるからです。
「サラリーマン」という言葉は明らかに「何をするか」という目的意識から離れて、「どう稼ぐか」という観点から作られた単語です。これに「普通」という修飾語をつけると「普通に給料で稼ぐ男」ということになります。
気楽な稼業か
「サラリーマンは気楽な稼業」という歌が流行ったように、目的がないためサラリーマンは気楽です。気楽だから人気商売になってしまいます。そして時間が経つと、お父さんたちは、サラリーマンは稼業であり、商売であることすら忘れてしまい、癖でサラリーマンをやるようになりました。
「年功序列と終身雇用」がなくなり、昇給がなくなり、サービス残業が長くなり、楽な稼業ではなくなっているのに癖でやってしまいます。
「サラリーマン」という言葉が誕生して数十年経ちましたが、この戦後の男の生き方が宗教のように日本社会に定着しました。男たちは少年時代の夢をあきらめ、新しい目的も持たなくなりました。それが職場における無気力と向上心のなさに繋がるのです。
最近、そんな人々に向けて「あの人はサラリーマンだから」という表現がよく使われるようになりました。この時の「サラリーマン」という言葉には明らかに強いマイナスイメージがあります。「無気力で目的意識がない」人々です。
サラリーウーマンとは
家族のために稼がなくてはならない理屈には誰もが反対しませんが、「給料の男」という生き方に心から納得している男性は少ないと思います。十数年間サラリーマンをやっていても、ふとしたきっかけで少年時代の夢を思い出し、人生の目的に悩む男性は多いと思います。この時、恐る恐る奥さんやお母さんに相談すると、だいたい一喝されてしまいます。「家族と子供たちのことも考えてよ」と。
「サラリーマン」に対して「サラリーウーマン」という言葉はありません。男性のように稼ぎ方にこだわり、「給料の女」になる女性がいないからです。彼女たちは男よりも自分の好き嫌いを大切し、収入と同様に自分の生き方を重視するのです。
むしろ、働いていない専業主婦のほうが男性以上にサラリーマンという生き方を是認し、こだわっています。この「給料の男」の生き方を男性に期待する女性たちのことを「サラリーウーマン」と呼ぶべきでしょう。
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今週からこのコラムで皆さんとおしゃべりを始めます。人生の幸せから仕事のハウツーまで真摯に自分の意見を述べるつもりです。ぜひ、ご意見をお寄せください。
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そう・ぶんしゅう
1963年、中国山東省生まれ。中国・瀋陽の東北大学を卒業後、85年、北海道大学に国費留学。同大大学院修了の翌92年、ソフトブレーン創業。2006月8月には取締役も退き、現在は同社マネージメント・アドバイザーとして、社業を離れて各方面で発言を続けている。

