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野球から学ぶ「企業防衛」
「フライを落とした野手はなぜ空を見上げるのか?」(幻冬舎ルネッサンス)という、気になるタイトルの本を見つけた。これ、「企業防衛とM&Aの本」だが、著者は野球のエピソードをおりまぜながら、「日本一わかりやすく書く」ことに挑戦したという。著者に解説してもらいながら、いくつかのキーワードを紹介したい。
著者はリスクプロテクターで、株式会社ジャストミート経営代表取締役の保科充弘氏。野球好きで、本書でも野球のエピソードから40のビジネス訓を展開している。
《フライを落とした野手はなぜ空を見上げるのか?》
「太陽とボールが重なってまぶしくなかったか」などと当座しのぎの言い訳探しか、プライドゆえの照れ隠しにすぎないという。あなたはそんな仕事ぶりをしていないか? という問いかけだ。
「前向きに仕事に取り組むより、何時間も言い訳を考えているケースが多い。大きな組織で働く人は減点主義で評価されますから、まずその仕事が難しいという資料をキチッと用意する。そんなことでは成功はおぼつかないんですが…」
《スーパープレーやレーザービームより大切なもの》
フェンスに飛びつきホームランを捕球するイチロー、外野から捕手にストライク返球で走者を刺すイチロー…だが、もっと大事なのは、内野手がライン際の打球を追うとき、キャッチャーからの牽制(けんせい)があったとき、イチローは球がそれることを想定し、常にバックアップに動いていること。目立たないが、大事なプレー。
「成果主義がはびこって、バックアップしない社員が増えている。いくら努力しても評価されないから。だから、JR西日本が大事故を起こしたときも、宴会を続けるようなことになるんです」
《442回の凡打》
これもイチローからの教訓。2004年、米大リーグ最多安打記録262本を更新した。一方で442回の凡打も記録。つまり、不成功の積み重ねによって人も会社も進化する。
「3割打者も6―7割は不成功。でも、失敗が大事なんですね」
《視点を変える「伝令」の大切さ》
甲子園ではベンチからマウンドに集まるナインに、グラウンドに出られない監督の伝令が飛ぶ。だが、伝令には、一息入れナインの頭を切り替えさせる効果もある。実は本書も、ビジネスマンの頭を切り替えさせる「伝令」の役目を担っているようだ。
「オーナー経営者は会社の欠点をあからさまにいわれるのを嫌う。でも、野球をとっかかりにすると、興味を持ってもらえる。気づいてもらいたいのは、いつの間にか守りばかり考えていないか。攻めの姿勢で企業防衛に取り組むよう頭を切り替えていただきたい」
著書でも、2005年のセンバツ甲子園大会に母校・慶應義塾高校が出場、激しい雨風の中、強豪関西高校に劇的なサヨナラ勝ちを収めた姿から「積極的な姿勢で守る」ことの大切さを学んだと記している。
これがこの本のミソではないか。
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保科さんは1961年7月生まれ。慶應義塾大学時代、準硬式野球部で東京6大学リーグ優勝。卒業後、三菱銀行入行。本田宗一郎氏の資産運用管理などを通じ企業家魂に触れ、M&Aアドバイザーとして独立。週末は少年野球の監督も務める。
独立のきっかけは、カール・ルイス、ダイアナ妃と同じ誕生日であることに気づき、会社勤務より大きな可能性を求める気持ちに火がついたこと。もう1つは銀行員時代、地下鉄サリン事件でサリンがまかれた電車に乗り合わせながら事なきを得て、人生何があるか分からないという気持ちが背中を押したという。
