この記事を読む方におすすめの記事
今!気になるレビュー
女優・有森也実(10)私と先生つなぐ答案用紙
■女優・有森也実のしっぽの話
いつも100点のテスト。
小学5、6年生のテストはすべて100点、クラスメート全員が100点、すごいでしょ?
本当に花形先生は凄い先生です。
先生の赤ペンはペケを付けることはありません、そして、100点以外の点数も付けません。答えが正しくないときは無印で、正解のみ丸を付け、生徒は何度でも消しゴムと鉛筆と頭を使ってリベンジできるのです。2回目が正しい答えであれば二重丸、3回目は三重丸、考えた分だけ丸が増えるのです。そして、全問正解100点満点の答案用紙だけランドセルにしまえるのです。
先生の愛と子供の努力の表れたたくさん丸の付いた100点でも、1つずつの丸の100点でも、両親は、良く頑張ったね、とか、すごいすごいとか、いつも嬉しそうに褒めてくれました。
物事を色んな角度から自分なりに考えることは楽しく、丸が増えることに劣等感や苦手意識を持つことはありませんでした。先生は面倒がらずに私たちの遠回りに付き合って、時には「ひと駅乗り越しちゃったね」なんて、答えがすぐ側にあることを気付かせてくれます。
丸だらけの答案用紙は先生と私の交換日記のようで特別な宝物でした。
先生愛用の座布団が黒板を駆け回る、かくれんぼや宝探しをしているみたいな授業も楽しかった…。黒板にぺしゃんこの座布団をおさえつけ、「ここに答えが隠れていますよ」と。チョークの粉をいっぱい含んだ座布団が考えのたまり場になるのです。
イコールの先が空白なのと座布団で隠されているのと、たいした違いはないのだけれど、答えがあるのとないのでは考え方がまるで違う。先生は「答えはいつだって質問の中に隠れているもの。だから分からない時は『?』をたくさん持ちなさい、そうすれば必ず答えが見つかるわ」。そう言って年季の入った座布団をたたいていました。
私が考え事をする時、なんとなくクッションを抱えてあれこれ考えてしまうのは花形先生の影響かもね。
----------------------------
ありもり・なりみ
横浜市出身。雑誌モデルを経て女優へ。映画「キネマの天地」、ドラマ「東京ラブストーリー」など多くの出演作がある。森光子の名舞台『放浪記』にも出演中(3月30日まで東京・シアタークリエほか地方公演あり)。
■女優・有森也実のしっぽの話
(9)私をふちどる「しつけ」
(8)「ポルシェの赤」の口紅
(7)冷蔵庫をお掃除「地粉のお好み焼き」
(6)想いの蓄積を言葉に変えて…
(5)「こだわり」はさりげなく
(4)知らぬ間にウエート法
(3)「あんな気持ち」って?
(2)玄米食で身体スッキリ
(1)新聞を読む男は色っぽい


