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宇宙・新時代(1)費用対効果に疑問符「きずな」
超高速インターネット衛星「きずな」を搭載したH2Aロケットが2月23日夕、種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられ、無事地球の周回軌道に投入された。
きずなはJAXAと独立行政法人「情報通信研究機構」が367億円をかけ共同開発した、重さ2・7トンの通信実験衛星だ。その“任務”についてJAXA広報部の大嶋龍男さんは「3つのアンテナを使って、日本、韓国、中国、東南アジアなどが双方向で高速通信するためのデータ取得と技術試験を行います」と説明する。衛星通信が実用化すると、夢の通信環境が整うのだという。
たとえば、(1)通信インフラの悪い離島や山間部での高速通信(2)アジア・太平洋地域をカバーする通信網で国際会議や遠隔医療が実現(3)雨天時、減衰する電波を増幅しての正常通信(4)災害時の迅速な情報提供―などだ。
ただ、高速通信網ではすでにNTT東日本などが設置中の光ファイバー回線のための地上インフラが先行。膨大な費用をかけ衛星を開発し、宇宙実験をする意味はないという声もあがっている。宇宙工学アナリストの中冨信夫さんも言う。
「決めたら引くに引けないのが、日本の宇宙開発。通信衛星を使う通信手段がすべてではないという選択肢も含めて、技術開発のロードマップ(行程)を見直す時期かもしれません」
対して、「意見はもっとも。しかし大災害が起きたら地上インフラも打撃を受ける。そんなとき、衛星通信は情報伝達という面で力を発揮するし、将来、移動体通信網が広がるには、やはり衛星通信技術は欠かせません」(大嶋さん)。
費用対効果のジレンマといえば、通信実験衛星「きく8号」にもあてはまる。災害時の通信実験も目的とした衛星だが、肝心のアンテナが機器の故障で動かず一部の実験ができなくなった。その後、「地上端末につけた直径75センチの外部アンテナに増幅器をつければ通信可能」となったが、同様の言い訳は、きずなにはもう通用しない。
きずなの命名者の1人で、首都大学システムデザイン学部1年の小林諭吉さんは「高速インターネットで僕たちの生活が便利になると思って、名前募集に応募しました」と目を輝かす。
こうした期待と費用対効果の問題解決などにきずなはどう応えていくのか―。
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■JAXA(ジャクサ)
Japan Aerospace Exploration Agencyの略で、独立行政法人宇宙航空研究開発機構。2003年、商業衛星などの「宇宙開発事業団」、惑星探査と研究の「宇宙科学研究所」、航空宇宙に関する技術開発などの「航空宇宙技術研究所」が合体した宇宙機関。
