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女優・有森也実(11)何事もじっとしていられない
私は、ひと所に長居をするのが苦手です。
食事に行っても、喫茶店に入っても、ショッピングでも、用が済んだらサッサと出てきてしまいます。
せっかちです。
ポケーッとしてるわりにポケーッとしていられないのです。
プライベートで、特に事務的なことに関しては自然と3倍速のスイッチが入ってしまうといった具合です。1人というのは味気ないものですね。
お気に入りのカフェで、カプチーノでも飲みながら読書を楽しむなんて絵になる女に憧れるのですが、てんでタチではないのです。電車に揺られ本を読む方が私は落ち着くのです。
歩くのだって速い。信号待ちで足を止めると損した気分で赤信号をにらみ、ひかえめにスクワットや片足立ちをして、小さい時間をつぶします。朝はテレビを見ながら、ゴロゴロとストレッチをし、頭と体を起こします。
たいてい掃除機と洗濯機は同時にスイッチオン。お鍋を火にかけながら、あっちこっち、植木に水をやったり洗濯物をたたんだり。時々ジゼル(愛猫)のしっぽをふんで、私もギャーォッと跳びはね…せわしなく動いていないといられない性分なのです。
そんな私でも、ここ最近ボーッと窓の外を眺め、あらあら暗くなっちゃった、電気をつけなきゃ、なんてことがよくあります。
恋でもしましたか有森さん? そうね恋でもしたい気分だわね。
いえいえ、この連載のことをあれこれ考えているんです。
あせる気持ちと裏腹にゆったりと想いをはせる、愛しい人を想うときと似た感じ。なつかしい香りや苦味、くすぐったさとともに、黄昏色にひたり、漂う、スローモーションの夕暮れ。私の蓄積…このひとときもじんわりたまっていく心地よい時間。
おっと、締め切りがせまっているのよ。ササッと3倍速で書かなきゃ。けれど原稿となると、なかなかそうはいかないものなのです。
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ありもり・なりみ
横浜市出身。雑誌モデルを経て女優へ。映画「キネマの天地」、ドラマ「東京ラブストーリー」など多くの出演作がある。森光子の名舞台『放浪記』にも出演中(3月30日まで東京・シアタークリエほか地方公演あり)。
■女優・有森也実のしっぽの話
(10)私と先生つなぐ答案用紙
(9)私をふちどる「しつけ」
(8)「ポルシェの赤」の口紅
(7)冷蔵庫をお掃除「地粉のお好み焼き」
(6)想いの蓄積を言葉に変えて…
(5)「こだわり」はさりげなく
(4)知らぬ間にウエート法
(3)「あんな気持ち」って?
(2)玄米食で身体スッキリ
(1)新聞を読む男は色っぽい


