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「言葉のタネ明かし」口腔
やれ患者のたらい回しだ、やれ医療過誤だと、お医者さんが何かと批判の矢面に立つケースが多い。それに便乗するわけではないが、お医者さん、とくに歯医者さんの使う言葉の“怪しさ”に触れてみたい。
大きな病院へ行くと、歯科のほかに「口腔外科」という診療科が設けられていることがある。これを、病院関係者も患者もみな、「コウクウゲカ」と読んでいる。
「腔」の音読みはコウだけだから、「口腔」は元来、コウコウとしか読めない。それなのに恐らく、「腔」の旁(つくり)の「空」の音(クウ)につられたためだろう、歯科学界ではコウクウが当たり前となった。
「腔」のように、旁の音につられるなどした誤読が、そのまま定着してしまったケースは、ほかにもずいぶんある。「洗滌」も旁の「條」(条の旧字体)につられてセンジョウと読む人が多いが、正しくはセンデキだ。
「消耗」もショウモウではなくショウコウ。それが証拠に「心神耗弱」の「耗」はコウと読む。もっとも現在では、正しくショウコウと読めば反対に間違いだと思われるから要注意だ。
最後にもう一つ。虫歯のことを正式には「齲歯」と呼ぶ。歯医者さんの業界では齲歯をウシと呼ぶが、これも齲の旁の禹につられた読みで、正しくはクシ。歯医者さんの誤読も“重症”だ。
(産経新聞大阪編集局校閲部長 清湖口敏)
■その他の「言葉のタネ明かし」
「大安」 「セイチョウ」 「みみざわりのよい」 「とんでもありません」 「高根の花」 「確信犯」 「発覚」



