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『新世界より』(上・下)貴志祐介著
舞台は1000年後の日本。のどかな共同体の奥底に刻みこまれた残酷な現実と、それに気づいた子供たちの葛藤をベースに、人間の心の闇や脆さを描き出す。
人間が超能力を操り、下等な動物に対して神のように振る舞っているという設定は、SFを読み慣れていない読者には違和感があるだろうが、この世界に入れるかどうかで上下2冊・4000円の価値が分かれる。
著者は『黒い家』『硝子(ガラス)の家』などのホラー、ミステリー小説の旗手。本書では、その手法をすべてつぎ込み、圧倒的な筆致とパワーでストーリーを展開させる。ラストも数多の謎と伏線が破綻なくまとまり鮮やか。ファンの間では、貴志作品の最高傑作、日本SF小説の“怪作”との声も。(講談社・各1995円)



