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MSとグーグルの違い
先週書いたエクセルへの不満に続き、今週もマイクロソフト(MS)の話。
MSがヤフー買収を提案しているのは、ご存じの通り。ネット検索サービスで6割近くのシェアを占めるグーグルに、ヤフーの利用者数と自社サービス「MSN」の利用者数を足し合わせて対抗する戦略だ。
ネットサービスの利用者は重複しているので、1+1が2になるのかという疑問はある。だが、それよりも重要な問題は、仮に「MSNヤフー」が誕生したとして、それがユーザーの役に立つのかという点だ。
一連の報道ではなぜか、利用者のメリットについてほとんど論じられていないが、MSがヤフーを飲み込んで一時的に利用者を集めたとしても、グーグルやその他のネット企業が「MSNヤフー」のネットサービスを上回る超便利なサービスをリリースすれば、ユーザーはすぐに乗り換える。ネットユーザーとは、そういうものだ。ユーザーにとってシェア争いなど、どうでもいい。興味があるのは、MSがグーグルを上回るサービスを出してくるかどうか、である。
実は検索性能だけ見れば、グーグル、ヤフー、MSNにそれほどの差はないらしい(2月14日掲載「デジタル業界激注目メモ」より)。となると問題は、検索と合わせて使うサービスがどれだけ便利で使い勝手がいいか、それを提供者がどれだけ「本気で」サポートするか、だろう。
その点で、まだMSのネットサービスは弱い。記者も、現在のMSのネットサービスで利用しているものは、ひとつもない。情報検索やメールサービスなど、ほとんどすべての仕事はグーグルのサービスでまかなえるうえ、使い勝手もいいからだ。例外はニュースや天気予報で、これはヤフーを使っている。ネットサービスだけに限れば、MSは「不要」なのだ。
MSとグーグルの使い勝手の違いは、技術力の差というよりネットにかける「本気度」の違いによるものだろう。MSはネットに全力をあげると言いながら、依然として主力はパソコン側にあるだけに、どうしても動きが中途半端だ。
この点について、小紙にも寄稿しているフリーランスライターの山田祥平氏が「PC Watch」に興味深いコラムを書いていた。MSのネットサービス「ウィンドウズ・ライブ」の機能を利用して、アウトルックの予定表をウィンドウズ・ライブ・カレンダーと同期させたいのだが、不具合が解消されず、1年近くも利用できない―というのだ。その一方でグーグルは、グーグル・カレンダーとアウトルックを同期させるユーティリティーソフトをすでにリリースしている。
山田氏は「アウトルックをウェブ上の予定表サービスと同期させたいニーズは確実にある」「グーグルは、そのニーズを把握し、そのための努力もしている」という。だが、MSは自社製品であるアウトルックと自社サービスであるウィンドウズ・ライブの同期さえできない。これがネットに対する「本気度」の違いである。
無料のネットサービスは、有料のパソコンソフト事業とは相反する部分が多い。パソコン市場に“帝国”を打ち立てたMSにとって、一度築き上げたものを否定することは難しいだろう。だがネットは、いとも簡単にパラダイムを転換する。この激動に対応できるかどうかの命題はMSにかぎらず、すべての産業に等しく突きつけられている。



